英財務相、ライフサイエンス分野に6億5,000万ポンド投入を発表

(英国)

ロンドン発

2023年06月02日

英国のジェレミー・ハント財務相は5月25日、ライフサイエンス分野のさらなる活性化に向けた政策として、6億5,000万ポンド(約1,131億円、1ポンド=約174円)の資金を投入する計画「成長のためのライフサイエンス(Life Sci for Growth)」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同計画には10の政策がまとめられている。主な政策は次のとおり。

  • 新薬の提供を早めるべく、商用臨床試験の迅速化に1億2,100万ポンドを投じる。新たなネットワークを構築し、リアルタイムデータへのアクセスを可能にするなどして迅速化を図る。
  • 英国のバイオバンク(注)の能力向上に向けて1億5,400万ポンドを投じる。この一環として、中小企業の産学連携支援を目的とした新施設をマンチェスター・サイエンス・パークに設置する。
  • 年金制度を活用し、英国の有望な科学技術企業への投資を促すため、「技術・科学に向けた長期投資」イニシアチブを通じて最大2億5,000万ポンドを拠出。ライフサイエンスを含む高成長産業への投資を促進する。
  • オックスフォード・ケンブリッジ間をつなぐ新しい鉄道路線(East West Rail)に関する計画へのコミットメントを確認。
  • 投資を促進し、将来のパンデミックに対するレジリエンスを強化するため、バイオマニュファクチャリングファンドを通じて最大3,800万ポンドを提供。さらに、イノベートUKを通じてライフサイエンス業界の人材獲得支援に650万ポンドを投じる。そのほか、最先端の製薬技術のイノベーションの推進に向けて1,000万ポンドを投じる。
  • 自治体が研究・開発のニーズを踏まえた決定を行うようにするなどの規制改革を通じた、研究スペースの拡大を提案。

今回の発表に合わせ、医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は医療機器の国際承認に関する意見公募を10月までに開始すると発表した。翌5月26日には、特定の医薬品につき、2024年第1四半期から、オーストラリア、カナダ、EU、日本、スイス、シンガポール、米国での承認を基に、英国での審査を簡素化する方針をMHRAが発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。なお、EUで承認された医薬品については、2023年末まで一時的な措置が導入されている。

(注)50万人の英国市民の詳細な遺伝子情報を含むデータベースおよび研究資料。承認を得た研究者が遺伝子的素質や環境が疾患に与える影響を調査するために利用することができる。

(松丸晴香)

(英国)

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