武漢市、輸入促進に係る実施プラン公布、先端設備などの輸入円滑化を狙う

(中国)

武漢発

2023年06月21日

中国・武漢市政府は61日、「武漢市輸入貿易推進革新モデル区建設実施プラン(以下、22条、注1)」を公布した。「22条」では、主に6つの取り組みに注力するとしている。具体的には次のとおり。

1)有力な貿易企業の誘致、認定事業者(AEO)の育成、RCEP(地域的な包括的経済連携)などの経済連携協定の活用などを通じ、輸入エコシステムを構築する、(2)先進的な科学研究の設備などへの免税政策の支援や、「輸入奨励技術・産品目録」に該当する先進技術や設備の通関の円滑化、検査検疫簡素化を図ることなどを通じ、光電子情報などの産業を強化する、(3)高品質消費財の輸入拡大や越境EC(電子商取引)の発展を支援することで、消費のグレードアップを促進する、(4)中国と欧州などの「一帯一路」沿線国を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の利用の促進や国際物流の円滑化など物流ハブ機能を向上することなどを通じ、輸入貿易のサポートを改善する、(5)新規輸入品、品質劣化懸念のある製品の早期貨物引き取りのための担保制度の多様化や、外貨建て取引の円滑化など、金融革新サービスの最適化を図る、(6)光電子や生命健康などの重点産業におけるハイテク製品の損傷リスクを軽減するために、特殊包装貨物の検疫や通関の最適化を図るなど税関のリスク防止や管理体制を整備し、国際貿易における「単一窓口(注2)」を推進するなど貿易の円滑化を全面的に推進するとした。

また、2025年までに同地区の年間輸入額を1,000億元(約2兆円、1元=約20円)以上、貿易実績のある企業を1,000社以上にするという目標も掲げられた。

湖北省唯一の国家輸入促進革新モデル区としての機能を拡充

「中国の光谷(Optical Valley)」と呼ばれる武漢東湖新技術開発区は202211月、湖北省唯一の「国家輸入促進革新モデル区」に指定されており、2022年の同区の対外貿易額は1,800億元を超えた。同区はさらに自由貿易試験区、総合保税区にも指定されており、ここ数年、同区エリアでは規制緩和、通関の円滑化、貿易サービスの向上などが進められていた。また、科学技術イノベーションセンターの建設や光電子情報産業振興が進んでおり、湖北省内の「武漢都市圏」の中核をなす「武漢新城(武漢市、鄂州市、黄石市、黄岡市)」の経済発展に貢献していくという(「湖北日報」69日)。

(注1)具体的な方針が22条にわたって書かれていることから現地報道などでは、略称が「22条」とされている。

(注2)国際貿易や国際運輸を行う各当事者が、単一プラットフォームを通じて標準化された情報や書類を利用する仕組み。企業の重複申告などの問題を解決できる。

(李成一)

(中国)

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