米ニューヨーク市、小規模事業者の活性化に向けゾーニング改正案発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月16日

米国ニューヨーク(NY)市のエリック・アダムス市長と同市都市計画局(DCP)のダン・ガロドニック局長は6月14日、小規模事業者の成長支援や雇用創出など経済機会のための用途地域(ゾーニング)改正計画案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

この計画案は、(1)商業地域の活性化、(2)空き店舗の解消、(3)主要な成長産業への投資、(4)用途規制の現代化という4つの目的に焦点を当てており、具体的に、以下を含む18のゾーニング改正計画案を示している。

  • NY市内5つの行政区で、地ビールメーカー、アパレルメーカー、陶器メーカーなど、クリーンな製造を行っている小規模事業者が利用できる地域を現在の約2倍(マンハッタン区全域に相当するスペース)に拡大する。
  • ライフサイエンス分野の研究開発を推進するため、ゾーニングによる研究所の規制を緩和し、オフィスや大学、病院の近くで実施できるようにする。
  • より多くの事業者が自宅を拠点にビジネスを行えるよう、インテリアデザイナーや理容師など向けのホームビジネス規制を現代化する。
  • 長期間空き店舗となっている場所でのビジネスの立ち上げを禁じている規則を改正する。
  • 建物の1階と上層階に出店できる業種を拡大する。
  • NY州とNY市でライセンスを持つ事業者向けの大麻栽培を含む、屋内都市農業に対する時代遅れな規制を撤廃する。
  • 現在、26万5,000人のNY市民が自宅から4分の1マイル(約400メートル)以内にコーナーストア(注)を開店できない地域に住んでいる。このため、住宅地でのコーナーストア開店を許可するための規制を新設する。

アダムス市長は発表の中で「われわれは、新しい小規模事業者を支援することにより、それ以外の企業も成長しやすくなるようにしている。これにより、新型コロナ禍で失われた雇用の99%を取り戻すことができた。われわれの市政の理念によって、NY市民も観光客も踊り、笑い、ビールを飲むことができるようになり、ビジネスが成長して雇用が生まれ、楽しさが街の包括的な回復を促進することになるだろう」と述べた。

なお、今回のゾーニング改正案は、アダムス市長が2022年6月に発表した市全体のゾーニングを改正する「シティ・オブ・イエス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」計画の第2弾となる。同計画は、カーボン・ニュートラリティーのためのゾーニング(第1弾)、経済機会のためのゾーニング(第2弾)、住宅環境のためのゾーニング(第3弾)の3本柱で構成されている。いずれも公開審査プロセスを経たのち、最終的にNY市議会で審議される。

(注)フランチャイズチェーンではないものの、日本のコンビニエンスストアに相当する。

(吉田奈津絵)

(米国)

ビジネス短信 569413024507f29d