ドリンクチェーンが急拡大、中国発のチェーンは国内1,000店舗突破

(ベトナム)

ハノイ発

2023年06月19日

ベトナム国内で、コーヒーや茶などを提供するドリンクチェーンが店舗数を急拡大させ、低~中価格帯で600~1,000店舗規模まで増加したチェーンが複数みられる(ベトナムニュース6月5日)。飲食店向けの経営管理ソリューションを提供する地場企業アイ・ポス(iPOS)の調査によると、2022年の外食市場の売り上げは610兆ドン(3兆6,600億円、1ドン=約0.006円)に達し、前年比39%増となった。この売り上げのうち、カフェ・バーのシェアが44%を占める。

店舗数の面で最大規模となるのは、中国発のミルクティーチェーンのミーシュー(MIXUE、蜜雪冰城)だ。2018年のベトナム出店以来、フランチャイズ店舗数を拡大させ、進出から5年で国内1,000店舗超えを達成した。テイクアウト向けが中心の狭い店舗で、主に中高生や家族連れをターゲットに展開。1万ドンのソフトクリーム、2万5,000ドンのタピオカミルクティーなど、低価格の商品を提供する。

アイ・ポスはミーシューの拡大要因について、狭い店舗面積に限られた設備投資で出店できる点などと分析する。ただし、ミーシューは加盟店に機械設備や食材を販売し、売り上げを得るビジネスモデルで、経営リスクは加盟店が負う。また、現状の出店ペースが市場の需給に見合ったものか、加盟店側が立地などの条件を十分に検証しているかなど、ミーシューの拡大には不安要素もみられる。

規模の面でミーシューを追うのは、ベトナム発のチェーンが中心だ。上記のベトナムニュースによると、地場のフック・ロンは食品加工や小売りを中心とした複合企業マサン・グループ傘下に入った後に規模を拡大させた。旗艦店132店舗のほか、同グループ傘下の小売りチェーンのウィンマートやウィンマートプラス内に800近いキオスク型店舗を展開。グループ全体でのシナジー創出を目指している。

カフェチェーン運営や小売り向け商品の製造を行うチュングエン・Eコーヒー、ハイランズ・コーヒーは新型コロナウイルス禍でも店舗展開の拡大を進め、2023年2月までにそれぞれ約600店舗規模となった。

高価格帯では、2023年でベトナム進出10周年となったスターバックスが約90店舗を展開している。

アイ・ポスは、ベトナムの2027年のコーヒーと茶の市場は2022年と比べ、それぞれ1.5倍、1.7倍に成長すると予測している。

写真 ミーシュー店舗の外観(ジェトロ撮影)

ミーシュー店舗の外観(ジェトロ撮影)

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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