空港開発計画を公布、2030年までに30空港体制を目指す

(ベトナム)

ハノイ発

2023年06月19日

ベトナム政府は67日、2030年までの全国空港開発計画に関する首相決定648QD-TTgを公布した。2030年までに、既存の22空港から計30空港体制とすることを目指す。

具体的には、国際空港は現在、南部ホーチミン市隣のドンナイ省に建設中のロンタイン空港を含め14カ所とする。国内線用の空港(国内空港)は新たに7空港を整備し、合計で16カ所とする(添付資料表参照)。

今回の決定には2050年に向けた目標も明記しており、2050年は合計33空港体制(14国際空港、19国内空港)を目指すという。ハイフォン市に新たに国際空港を建設し、既存のカットビー空港を国内空港に転換するほか、首都ハノイ市南東部とカオバン省に国内空港を新設する計画だ。

2030年の旅客数の目標は27,500万人前後とした。ハノイ市、ホーチミン市、ダナン市や主要ビーチリゾートに位置する各空港は拡張を行う方針だ。交通運輸省傘下のベトナム航空局によると、202315月の空港の利用者数は前年同期比37.8%増の4,550万人だった。このままのペースでいくと、2023年通年では新型コロナ禍前の2019年の水準(年間11,600万人)に回復する見込みだが、2030年はこの倍以上の旅客数を見込む計算だ。

航空貨物の総取扱量の目標は410万トン前後とした。2022年の貨物取扱量125万トンの3倍以上の目標値だ。年間の貨物需要が25万トン以上と見込まれる主要空港には、空港とは別に、輸送手段の接続を担う物流センターを整備する方針も盛り込んだ。

開発計画に必要な総投資額は420兆ドン(25,200億円、1ドン=約0.006円)前後になると推定した。政府予算や官民パートナーシップ(PPP)方式で賄うとされるが、投資の内訳や調達方法、具体的なスケジュールには不明点が多い。

空港開発は、地方都市や周辺産業への波及効果が大きい半面、計画どおりに許認可取得や建設が進むかなど、実現には疑問の声もある。建設中のロンタイン空港は当初2025年の開港を目指していたが、土地収用や入札の遅れ、工期の延長に伴い、完成は2026年にずれこむ見通しだ。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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