日本カンボジアデジタル化製造業センターが開所、最先端工作機械を扱える人材を育成

(カンボジア)

プノンペン発

2023年06月12日

日本カンボジアデジタル化製造業センター(CJDM)の開所式が524日、カンボジアの首都プノンペンの、同センターが設立されている王立プノンペン大学(RUPP)で行われた。

同センターには、日本政府の無償資金協力(約5億円)により、DMG森精機製の最先端コンピュータ数値制御(CNC)工作機械3台が設置された。そのうち三次元プリンター機能を有する最新式の工作機械「LASERTEC 3000 DED Hybrid」は、同等製品の製作期間を2週間から2時間に短縮し、費用を6分の1に削減できるという。同機械が導入されるのは、今回のCJDMが世界初となる。

カンボジアの製造業は労働集約型の縫製業や簡易部品組立事業が中心だったが、政府としては、ITイノベーションを中心とした産業の高度化・多角化を目指している。CJDMは、最先端の機械設備を使いこなせる高度な技術と知識を習得したエンジニアおよびその指導者を育成し、デジタル技術を使った付加価値の高い産業の誘致を実現させることを目的としている。研修対象者は学生に限定せずに、産業界にも広く門戸を開く計画だ。

開所式で、主賓の1人のハン・チュン・ナロン教育・青年・スポーツ相は「CJDMが王立プノンペン大学だけでなく、カンボジアおよびASEANのすべてのアカデミー界のハブセンターになることを目指したい」と言及した。

DMG森精機の森雅彦社長は「カンボジアの前途ある若者は、CJDMを利用して機械を使いこなし、最新で性能の高い製品の製造技術を習得してほしい。一般的に製造業は労働集約型から段階的に高い技術力を必要とする製造方法にシフトしてきたが、カンボジアは必ずしもその歴史をなぞる必要はない。最新の技術で付加価値の高い製品を作れる人材を育成することは、カンボジアの製造業を大きく進化させるだろう」と話した。

CJDM開所に先んじて、2021年末から20229月まで、DMG森精機のオンライン研修プログラムに選抜された工学系大学生や、既に就労しているエンジニアが参加した。開所式には多くの学生も参加し、最先端技術に関する教育を受けられることへの期待と情熱がみられた。

写真 植野篤志駐カンボジア日本大使(左から3人目)も参加した開所式の様子(ジェトロ撮影)

植野篤志駐カンボジア日本大使(左から3人目)も参加した開所式の様子(ジェトロ撮影)

写真 日本カンボジアデジタル化製造業センター(CJDM)の外観(ジェトロ撮影)

日本カンボジアデジタル化製造業センター(CJDM)の外観(ジェトロ撮影)

(大西俊也)

(カンボジア)

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