ドイツのシーメンスヘルスケア、上海市でアジア太平洋地区初の診断薬生産拠点を稼働

(中国、ドイツ)

上海発

2023年06月14日

ドイツの医療機器メーカー、シーメンスヘルスケアは6月5日、上海市浦東新区にある診断用医薬品の生産・開発拠点を本格稼働させた。延べ床面積は3万5,000平方メートルで、総投資額は約30億元(約600億円、1元=約20円)に上る。心臓や甲状腺、ホルモン、腫瘍などの疾患向けの臨床用診断薬のほか、校正用標準物質や抗体希釈液、精度管理試料などの免疫検査用品も生産し、年間生産能力は6億人分に達する。同社にとっては、アジア太平洋地域で初の診断薬生産拠点という。

シーメンスヘルスケアは上海拠点のほか、5月22日に広東省深セン市と既存拠点の生産拡大で戦略的協力枠組み協定を締結した(2023年5月29日記事参照)。深センの拠点では、磁気共鳴診断装置(MRI)、血管撮影装置、医療用電子部品などを生産し、中国での部品調達率は80%に達した。医療機器が100カ国・地域に向けて累計約8,000台出荷され、医療用電子部品の出荷量も100万個を突破した。

シーメンスヘルスケアは上海拠点の稼働より、中国で販売する診断薬の現地生産率を約90%に引き上げる見込みだ。同社は中国で90種類以上の製品を生産しているが、将来的にあらゆる製品の現地生産を図っていく目標だ。

中国の財政部と工業情報化部は2021年5月、内部通知として各地に「政府調達輸入製品審査指導標準(2021版)」を出し、178種類の医療機器の国産率を細かく定め、政府調達での輸入医療機器の排除を進めている。中国では公立病院が多く、医療機器の販売に地方政府の調達が大きな影響を与えている。

(劉元森)

(中国、ドイツ)

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