米カミンズ、水素燃料電池を動力とする政府用災害救援車両を開発

(米国)

ロサンゼルス発

2023年06月30日

米国エネルギー省(DOE)傘下の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は6月22日、トラックエンジンメーカー大手のカミンズ(本社:インディアナ州コロンバス)のブランド「アクセレラ(Accelera)」が開発した、被災現場で電力供給が可能な水素燃料電池を動力とする政府用災害救援車両「H2@Rescue」のデモを実施したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。アクセレラは2022年9月、緊急現場の基準を満たし、かつ代替燃料を使用した政府用災害救援車両の開発を目的とした複数省庁間(注1)プロジェクトに採択され、約100万ドルの開発資金を得ていた。

NRELによれば、「H2@Rescue」はクラス7(注2)に分類される重量約3万3,000ポンド(約14.968トン)の大型水素燃料電池トラックで、自走式発電機としても稼働する。最大180マイル(約290キロメートル)走行可能で、1回の充填(じゅうてん)で72時間分の電力を供給できるほか、700バール(注3)で最大176キログラムという大量の水素を輸送できる。被災現場の緊急対応活動で使用される発電機は、ディゼールやガソリンを動力とすることから、燃費の悪さ、二酸化炭素の排出、騒音といった課題がある。他方、「H2@Rescue」は、ほとんど騒音を出さず、水蒸気のみを排出する。さらに、車両に搭載された水素燃料電池で生成された水を非常用供給源として処理・利用できる可能性がある。

デモは、NRELがコロラド州ゴールデン市に保有するサウス・テーブル・マウンテン・キャンパスで約1週間にわたって実施された。NRELのデモ・コーディネーター兼水素システム研究員のマット・ポスト氏は、「NRELは水素燃料と高高度のデモセンターを供給するユニークな能力を有している。この革新的なプロジェクトを支援できることをうれしく思う」と述べている。

(注1)DOEエネルギー効率・再生可能エネルギー部が主導し、国防総省、国土安全保障省科学技術局も参画。

(注2)米国連邦高速道路局による車両分類。クラス7は、車両重量が2万6,001~3万3,000ポンド(約11.794トン~14.968トン)、タイヤが6本以上の貨物用トラックやトラクター・トレーラーなどの大型車両を指す。

(注3)圧力の単位の1つ。1バールは1,000ヘクトパスカル。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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