米カリフォルニア州大気資源委員会、金属表面加工用途での六価クロムの利用を段階的廃止へ

(米国)

ロサンゼルス発

2023年06月06日

米国カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)は5月25日、大気中の有害物質に関する規則の改正を行い、金属のメッキ処理や皮膜加工処理などで用いられる六価クロムの使用を段階的に廃止することを承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

六価クロムは、キッチンの家電製品や車のバンパーなど装飾的なメッキ加工に使用されるほか、航空機部品などに耐食性や耐熱性といった性質を与えるための機能的加工にも用いられる。CARBは規則の改正理由として、金属製品へのクロムメッキ加工の工程で、施設から有害物質が排出され、周辺住民に健康上のリスクをもたらすためとしている。今回の規則の見直しにより、装飾的な用途で六価クロムを用いている工場には、2027年または2030年までにより毒性の低い代替品への移行を求める。他方、機能的な用途で用いている工場には、代替品が開発途上であるため、2039年までの移行を求める。

なお、装飾的な用途で六価クロムを用いており2027年までの移行を目指す場合、毒性を持たない三価クロムへの移行を支援する資金援助プログラムを優先的に受けることができる。しかし、移行時期を2030年までに遅らせる場合、利用可能な補助金が少なくなる可能性があるほか、2026年までに施設の囲い込み要件を満たすかたちで漏出量を削減することが求められる。

CARBによると、カリフォルニア州には、六価クロムの使用許可を有する施設が110超存在するという。南カリフォルニア、特にロサンゼルス郡はクラシックカーの愛好家や航空宇宙関連企業が集まる地域で、クロムメッキ工場も集積しているため、産業への影響が懸念されている(「ロサンゼルス・タイムズ」紙電子版3月25日)。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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