インドネシア、ボーキサイト鉱石の輸出禁止を実施

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年06月20日

インドネシア政府は、未加工のボーキサイト鉱石のインドネシアからの輸出を、2023年6月10日から禁止した。複数の地元紙が報じた。ボーキサイトは、主にアルミニウムの主要原料として使用される。インドネシアは、これまで中国などを中心に輸出を拡大してきたが、インドネシア国内での精錬・加工産業の発展を促し、付加価値の高い加工鉱物の輸出拡大および雇用機会の創出を図る意向。ジョコ・ウィドド大統領は2022年12月、インドネシア国内での精錬・加工産業の発展を促すことを目的に、ボーキサイトの輸出を禁止すると発表していた(2022年12月23日記事参照)。

インドネシア政府は2020年の鉱業法(法律2020年第3号)で、施行日(2020年6月10日)の3年後から、原則、未加工鉱物にかかる輸出を全面禁止にするとしていたが、銅精鉱、亜鉛、鉛などについては禁輸を先送りする見通し。

インドネシア・ボーキサイト・鉄鉱石協会(APB3I)のロナルド・スリスティアント会長は、今回の輸出禁止措置について「国内でまだ十分に精錬所の建設が進んでおらず、ボーキサイトが供給過剰に陥る恐れがある」として、国内事業者の間で懸念の声があがっていることを伝えた(「スアラ」2023年6月10日)。

なお、輸出のためには精錬所でボーキサイト鉱石を加工する必要があるが、エネルギー・鉱物資源省によると、国内で建設中を含めたボーキサイト精錬所は計12件で、うち稼働済みは4件にとどまっている(エネルギー・鉱物資源省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ロナルド会長は、精錬所の稼働には多額の投資と長期にわたる回収期間が必要だとして、インドネシア政府に対して精錬所建設を加速化するための支援も併せて呼びかけている。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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