ハンガリー、労働力不足緩和に向けゲストワーカー受け入れ簡素化

(ハンガリー)

ブダペスト発

2023年06月26日

ハンガリー議会は613日、特定の第三国からの「ゲストワーカー」を雇用しやすくする法案を可決外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

この法律の目的は、特定の第三国からのゲストワーカーの雇用について、独立した透明性のある規制の枠組みを設けることだ。具体的には、雇用主がゲストワーカーを長期間雇用できる条件を明確にする。同法は111日に施行される。

まず、この法律は、特別な雇用カテゴリーとして「ゲストワーカー」〔欧州経済領域(EEA、注1)外の特定の国から来た一定条件を満たす労働者〕という新しい法的概念を定義している。また、ゲストワーカーを雇用することができる「優先雇用主」の概念も定義している。

【優先雇用主の定義】

  • 政府と戦略的パートナーシップ協定を締結している雇用主(注2)、または
  • 国家経済の観点から優先投資(注3)を実施している雇用主、または
  • 優先輸出企業パートナーシップ・プログラムの枠組みの中でパートナーシップ協定(注4)を締結している企業。

ゲストワーカーには、滞在許可と就労許可が一体化した許可証が最長2年間の有効期間で発行され、その後、1度だけ1年間の延長が可能になる。申請書を提出する際、雇用主はハンガリー国籍の求職者で欠員を埋めることができなかったことを申告しなければならない。なお、ゲストワーカーの家族の帯同ならびにゲストワーカーのハンガリーへの移住は認められない。

EEA域外でハンガリーに隣接していない国のリスト(どの国からゲストワーカーを雇用できるか)と詳細な規定(ハンガリーでゲストワーカーを雇用できない職業、毎年ハンガリーで雇用できるゲストワーカーの総数)は、今後、省令で規定される。

ジェトロの「2022年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」でも、「経営上の課題」の設問(複数回答可)で「人材の確保」と回答した在ハンガリー日系企業は66.5%(欧州平均では54.8%)に上っており、ハンガリーは欧州でも人材確保が難しく、労働力が不足している状態だ。

(注1EUの全27加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン。

(注2)ハンガリー政府のウェブサイトでは、政府と戦略的パートナーシップを締結している企業外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開している。

(注3)ハンガリー政府が、投資を迅速に実施するために政令で分類した投資。 当初はEUの支援を受けて実現した大規模な運輸、環境、エネルギー分野の投資だったが、近年は大規模な産業投資(アウディ、BMWなど)も含まれている。

(注4)ハンガリー政府と、ハンガリーからの輸出拡大に大きく貢献しているハンガリー資本の企業との間の協力協定。外務貿易省が開設しているウェブサイトで、政府と協定を締結している企業外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを確認できる。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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