人材不足解消に向け、域外労働者を最大2万人受け入れ

(香港)

香港発

2023年06月19日

香港特別行政区政府は6月13日、深刻な人材不足に対処するため、建設や運輸部門に対し、「域外労働者受け入れ計画」の導入と、「補充労働者計画(SLS)」(注1)の強化を発表した。

域外労働者受け入れ計画では、建設業は最大1万2,000人(公共部門プロジェクトに必要な労働者を優先)、運輸業は最大8,000人の受け入れを予定している。運輸業の受け入れ予定人数の上限は航空運送業(パイロット除く、注2)が6,300人、バス業(域内循環バスと長距離バスが対象)が1,700人となっている。

域外労働者受け入れ計画を利用する雇用主に課する要件は次のとおり。まず、雇用主は受け入れ労働者を標準的な雇用契約に基づいて労働に従事させ、労働者1人につき再訓練賦課金として毎月400香港ドル(約7,200円、1香港ドル=約18円)を支払う必要がある。また、雇用主は労働者に対して、香港での住居または中国本土の住居の提供、もしくは中国本土の住宅に居住させなければならない。なお、受け入れ労働者が中国本土の居住者の場合、雇用主は中国関連当局が承認する外国労働者サービス協力企業などを介して労働者を募集しなければならない。加えて、受け入れ労働者に支払う給与水準は、香港での関連職務の月給中央値以上でなければならない。

SLSについては、適用対象除外の26職種(例:販売員、飲食店のホールスタッフ、ドライバーなど)で、域外労働者の雇用を禁止する措置を講じているものの、この措置は2年間停止する。なお、SLSが規定する主要要件の変更はないが、名称を「促進補充労働者計画(ESLS)」に改称する予定だ。ESLSは2023年第3四半期(7~9月)から開始する見込みとなっている。

域外労働者受け入れ計画とSLSのいずれも、域外労働者の域内労働者の割合を1対2とするようにしなければならない。

香港政府報道官は「域外労働者受け入れ計画は7月から開始し、開始までに申請受領と処理手続きを進める見通し」と述べた。

(注1)香港で適切な人材を採用できない場合、技術者レベル程度の域外労働者の受け入れを可能とする労働者補充計画。

(注2)対象となるのは以下の10職種。地上勤務員、顧客サービス員、航空機牽引自動車運転手、貨物・コンテナ運搬車運転手、客室乗務員、発着航空機の誘導・給油・貨物搭載・搭乗口の取り付けなどに従事する作業員、倉庫管理者/貨物担当者、航空機整備士/技術者、航空貨物搭載機オペレーター、整備作業員。

(松浦広子)

(香港)

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