4~5月初旬の経済活動にほぼ変化なし、米シカゴ連銀ベージュブック
(米国)
シカゴ発
2023年06月05日
米国連邦準備制度理事会(FRB)が5月31日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック、注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、4月から5月初旬にかけての同地域の経済活動について、前回の調査期間からほぼ変化がなかった(little changed)と報告した。関係者は今後数カ月の成長鈍化を予想しており、今後1年間の景気後退の可能性について懸念していると報告した。
同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用は緩やかに(moderately)増加し、関係者は2024年も同程度の伸びを予想している。多くの企業が技能職の労働者確保に苦労している一方、「労働者の採用が容易になった」または「人員が十分に確保できた」という報告も増えているとした。
個人消費は報告期間中、全体的に横ばいとなった(unchanged on balance)。自動車以外の小売売上高は横ばいだったが、必需品に対する旺盛な需要が非必需品に対する弱い支出により相殺されたためとしている。自動車の販売台数はわずかに増加したが、複数の自動車ディーラーから「価格の高騰が需要を低下させている」という報告があった。
企業支出は全体的にほぼ変化がなかった(little changed overall)。設備投資はわずかに増加し、複数の担当者が新しいソフトウエアを購入したと報告した。輸送需要は減少し、産業用、商業用および家庭用のエネルギー需要はわずかに減少した。
製造業の需要は、控えめに(modestly)減少した。製造業の受注残は緩やかに減少し、在庫はわずかに増加した。関係者は、いくつかの品目は依然として入手困難だが、サプライチェーンの問題は少ないと報告している。自動車生産は全体的に堅調だった。
2023年の同地区での農業所得の見込みについては、主要作物の価格が下落したため、やや低下した。トウモロコシと大豆の価格は、耕作と植え付けが急速に進み、大量収穫への期待が高まったため下落した。また、卵と乳製品(特にチーズ)の価格は低下している。
地域社会の状況について、地域開発団体と行政機関は、経済活動全体がわずかに増加した(a small increase)と報告した。州政府関係者によると、税収のペースは引き続き緩やかだが、増加している。
個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料表参照。
(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。
(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。
(星野香織)
(米国)
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