英政府、植物混合プラスチック食器の販売停止勧告と情報照会を開始

(英国)

ロンドン発

2023年06月15日

英国食品基準庁(FSA)は6月12日、竹やその他の植物由来の材料(もみ殻、麦わら、麻)を含むプラスチック食器の販売停止を小売業者に勧告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、そのような製品の長期的な安全性を判断するため、同日付で情報提供の照会を開始した。安全性が完全に確認され、認可が下りるまで、これらの製品は市場にとどめることはできず、現在市場に流通している製品も回収されるべきだとしている。なお、北アイルランドに関しては、欧州委員会の食品接触材料に関する規則(EU)No 10/2011外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが適用されるため、既に市場では竹繊維やその他の竹を含むプラスチック製の食品接触材料の上市(市場投入)は認められていない。

竹を含むプラスチック食器のリスクを検証中の英国毒性委員会(注)の初期評価によると、状況によりホルムアルデヒドやメラミンといった物質が法的制限を超えて食品や飲料に移動する可能性があると判断した。これらの製品が差し迫った健康被害をもたらすリスクは低いが、十分な証拠が不足しているため、定期的な使用による長期的影響は不透明とされている。この初期評価の結果、潜在的なリスクの評価が完了するまでは、予防措置として、消費者にそれらの製品の不使用を推奨している。竹や植物由来の材料を含むプラスチック製品として一般的に該当するものは、再利用可能な飲用カップ、食器、カトラリー、弁当箱、まな板に加え、乳幼児や子供向けの食器セットも含まれる。なお、竹または植物由来の材料のみで作られた製品には適用されない。

FSA食料政策副局長のナターシャ・スミス氏は「熱くて酸性の飲食物に使ったり、電子レンジに入れたりすると、化学物質が大量に放出される可能性がある。これらの製品について実施している試験内容や、試験の正確性など、できる限り詳細な情報を提供してほしい」としている。

今回の情報提供照会の結果概要は、2023年12月12日の照会期間終了後、3カ月以内に発表される予定で、その結果はグレートブリテン市場に上市されるプラスチック製食品接触材料に含まれる植物成分に関して、将来的な製品規制の際の評価基準の参考となる見込み。

(注)英国毒性委員会とは、化学物質の毒性に関する問題について、FSAおよびその他の英国政府省庁に助言を提供する独立研究者団体。

(永田結子、飯田俊平)

(英国)

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