米メモリアルデー連休期間の航空需要は堅調、新型コロナ禍前の2019年比で約30万人増

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月01日

米国国土安全保障省運輸保安局(TSA)は5月30日、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)までの4日間(5月26~29日)の連休期間における国内空港利用者数が980万人近くに上ったと、同局のツイッターで発表した。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年水準を約30万人上回った。このうち、連休期間初日の5月26日の国内空港利用者数は274万人となり、1日の旅行者数としては2019年11月の感謝祭以来最多となった。

米国では、5月の第4月曜日のメモリアルデーは夏の始まりとされる祝日で、旅行者による消費意欲を測る重要な目安となる。2022年のメモリアルデー連休期間は悪天候に加え、航空業界の人員不足なども重なり、ピーク時にはフライトの乱れが増加したが、2023年は目立ったトラブルはなかったようだ。航空会社の経営幹部らは「今夏は安定した運航を実施できる」と楽観的な見方を示していた(CNBC5月30日)。

自動車での旅行需要も堅調のようだ。全米自動車協会(AAA)による、メモリアルデー連休期間中の旅行者数に関する事前予測では、5月25~29日に自宅から50マイル(約80キロ)以上移動する旅行者数は前年同期比7%増の4,230万人になると見込んでいた。このうち、自動車を利用した旅行者数が3,710万人と全体の9割近くを占め、飛行機が3,390万人、電車やバスといったそのほかの交通手段を利用する旅行者数は185万人となっていた。また、2019年から2023年にかけての伸び率で、空港利用者は5.4%増加すると予測されていた(注)。AAAトラベルのシニアバイスプレジデントを務めるポーラ・ツイデール氏は「インフレにもかかわらず、多くの米国人が旅行を計画し、早めに予約を取っている。今夏の旅行シーズンは、特に空港(の利用者数)で記録的なものになる可能性がある。AAAがメモリアルデー連休期間の旅行者数を追跡し始めた2000年以降、3番目に混雑しそうだ」と述べていた。

米国経済誌のフォーブスが、市場調査会社ワンポールと実施した2023年の米国人の旅行計画に関する調査(実施期間:2023年1月19~30日、対象:米国人1,000人)によると、全体の87%が「少なくとも前年と同程度旅行する」とし、回答者の49%は「前年以上の旅行を予定している」と回答した。この傾向は特に若年層に顕著で、18~26歳の回答者の59%が「前年以上の旅行を予定している」と答えた。一方で、全体の46%が「インフレが旅行計画に影響を与える可能性は高い」と回答しており、このうち23%が「オフシーズンに旅行する」、21%は「より安価な目的地を検討する」と答えている。インフレの長期化が旅行計画に影響を与えている一方、米国人の旅行意欲自体は衰えていないようだ。

(注)執筆時点で、AAAによる連休期間中の旅行者に関する実データは公表されていない。

(樫葉さくら)

(米国)

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