デジタル化の未来の共創を呼び掛け、チェコへのR&D投資に対する期待も

(チェコ、日本)

海外ビジネスサポートセンタービジネス展開課

2023年06月21日

ジェトロは6月12日、在日チェコ大使館、チェコ産業連盟、チェコインベストとの共催で「チェコ・日本ビジネス投資フォーラム2023」を開催した。同フォーラムは、チェコのイバン・バルトシュ・デジタル化担当副首相の来日の機会を捉えたもので、同国でのビジネスに関心を持つ日本企業など約100人が参加、デジタル分野やイノベーション創出に向けた両国の協力可能性の議論が目立った。

開会あいさつをしたジェトロの信谷和重副理事長は、現在270社あまりの日系企業がチェコで操業していること、同国が欧州全体のイノベーション・エコシステムとつながり、支えていることを紹介した。

チェコ産業連盟のミレナ・ヤブールコバー副会長は、日本は欧州内を除いて4位の重要な貿易相手国であることを強調、日本との貿易・投資がさらに増えることを期待しつつ、イノベーション分野での日本の取り組みにチェコとしても貢献したいと述べた。

基調講演を行ったバルトシュ・デジタル化担当副首相は、日本とは20年間にわたって戦略的パートナーシップを結んでおり、今後も民主的なパートナーとしての結束を強めることが両国にとって重要だと語った。また産業面では、日本とチェコはサイバーセキュリティーや人工知能(AI)などの先端的な分野での共同研究を進めており、ともにデジタル化の未来を目指したいと訴えた。そのためにも日本からの投資、特に研究開発(R&D)拠点の投資を歓迎する、とのメッセージを発した。

写真 講演するバルトシュ・デジタル化担当副首相(ジェトロ撮影)

講演するバルトシュ・デジタル化担当副首相(ジェトロ撮影)

続くチェコインベスト駐日代表のヤクブ・ハーイェク氏は、欧州の中心に位置するチェコの地理的優位性や労働生産性の高さなどの魅力を挙げた。また、進出する日系企業の3分の1にのぼる100社あまりが自動車産業を中心とした製造業であることを説明した。その上で、今後は製造業に加え、ソフトウェアやサービス分野の投資に期待を寄せた。

チェコに進出するパナソニック 空質空調社 欧州事業部事業推進室長の北川寛文氏は、欧州で強化された環境規制への対応など同社の事業展開の事例を交えつつ、チェコには高度な技能と語学力を持ち、愛社精神から定着率の高い人材が多いと語った。

セミナーセッション終了後のビジネス交流会では、来日チェコ企業20社あまりと日本企業が熱心に意見交換を行い、欧州全体へ向けた重要なアクセスポイントとしてのチェコへの関心の高さがうかがわれた。

(櫻澤健吾)

(チェコ、日本)

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