2023年の世界経済成長率は2.1%、世界銀行が予測

(世界)

国際経済課

2023年06月09日

世界銀行は6月6日、「世界経済見通し」〔プレスリリース(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕を発表した。2023年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)は2.1%と、2022年の3.1%から低下すると予測した(添付資料表参照)。前回2023年1月発表の1.7%からは0.4%ポイントの上方修正となったが、世界的な金利上昇が続く中、世界の経済成長は減速し、新興・途上国・地域の金融リスクが高まっているとの見方を示した。

中国を除く新興途上国・地域(EMDEs)では成長率が2022年の4.1%から2.9%に後退する見通し。これらの国々の大半ではこれまで、先進国・地域における最近の金融不安がもたらす影響は限定的だったが、現在では信用状況が世界的にますます厳しくなり、EMDEsの4カ国に1カ国が事実上、国際債券市場へのアクセスを失っているとした。また、EMDEsの経済活動は、2024年末までパンデミック直前に予想された水準を約5%下回ると見込まれている。新型コロナウイルス、ロシアによるウクライナ侵攻、世界的な金融引き締めによる成長減速という三重のショックが足かせとなり、EMDEsの成長が減速する状況が当面続くと予想されている。ただし、東アジア・大洋州エリア のEMDEsの成長率は、中国の成長率の力強い回復に支えられて持ち直すと予測。

先進国・地域の経済成長率は、2022年の2.6%から2023年は0.7%へと低下するとしている。米国経済は、2023年に1.1%成長した後、過去1年半にわたる急激な金利引き上げの影響が残り、2024年には0.8%へ減速する見通しだ。ユーロ圏では、金融引き締めとエネルギー価格上昇の遅行的影響のため、 2022年の3.5%から2023年は0.4%へ減速する見込み。

また、インフレについて、世界銀行は「当面は持続するものの、需要が弱まり、商品価格が落ち着くにつれて、徐々に低下していく」としている。また、最近の複数の銀行破綻を受け、グローバルな金融規制改革に再び焦点を当てる必要があるとした。国レベルでは、インフレを抑制し、マクロ経済と金融の安定を確保するための信頼できる政策を実施するとともに、強固で持続可能かつ包摂的な開発の基礎を確立するための改革を行うことが不可欠と述べている。

(板谷幸歩)

(世界)

ビジネス短信 03a063d25e5a7d85