第1四半期の輸出入、増加するも減速傾向が顕著
(マレーシア)
クアラルンプール発
2023年05月12日
マレーシア統計局は4月28日、2023年第1四半期(1~3月)の貿易総額が前年同期比3.2%増の6,449億リンギ(約19兆3,470億円、1リンギ=約30円)で、第1四半期としては過去最高額を記録したと発表した(添付資料表1参照)。輸出額は3,546億リンギ、輸入額は2,902億リンギで、ともに微増したが、輸入の増加幅がより大きく、貿易収支(黒字)は前年同期比1.0%減の644億リンギだった。しかし、直近の傾向でみると、輸出入のいずれも2022年12月以降は減速気味だ。3月には輸出額が2年7カ月ぶり、輸入額が2年4カ月ぶりにマイナスに転じた。
輸出を品目別にみると、全体の4割を占める電気・電子製品が1,419億リンギで、前年同期比で3.3%増加した(添付資料表2参照)。うち、同品目の半分を占める集積回路が2.2%増の729億リンギに増加した。次いで、精製石油製品が64.5%増の339億リンギ、パーム油・同製品が17.2%減の262億リンギ、液化天然ガス(LNG)が33.8%増の178億リンギ、専門・科学・制御機器および装置が10.1%増の125億リンギだった。主要品目の中では、パーム油・同製品のみ、価格下落の影響で減少を記録した。
国・地域別にみると、輸出では、シンガポールが前年同期比15.1%増の571億リンギで、依然として最大の輸出相手国だった(添付資料表3参照)。次いで中国(8.1%減の460億リンギ)、米国(8.0%増の390億リンギ)、日本(4.3%増の237億リンギ)、香港(12.0%増の220億リンギ)が続き、上位5カ国・地域向けは中国を除いて輸出が伸びた。統計局によると、中国向けでは電気・電子製品の輸出が21.3%減と減速した。
輸入では、中国が2.2%増の626億リンギで首位だった。シンガポールが12.3%増の311億リンギ、台湾が1.1%減の216億リンギ、米国が0.5%増の207億リンギ、日本が2.2%減の186億リンギと続いた。
四半期ごとの輸出増減率をみると、前期からさらに減速した(添付資料図参照)。
マレーシア工業開発銀行(MIDF)研究所は、約2年間に及ぶベース効果の剥落や、2023年第1四半期の輸出実績が予想よりも低調だったことから、2023年通年の輸出伸び率の予測を9.2%から6.2%、輸入を9.5%から6.4%にそれぞれ下方修正した。輸出の下方修正は、中国の経済再開による押し上げが予想よりも遅れるためと分析する一方、中国の需要回復は2023年後半にはマレーシア経済にプラス影響を与えると見通した。貿易は基本的には増加基調を続けるが、インフレの上昇、地政学的緊張など、供給に影響を与える要因によって、今後の見通しが不透明になる恐れがあるとも付け加えた。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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