イランとロシア、ラシュト~アスタラ間の鉄道建設で合意

(イラン、ロシア、アゼルバイジャン)

テヘラン発

2023年05月19日

イランとロシアは5月17日、国際南北輸送回廊(INSTC)の貨物輸送のカギとなるラシュト~アスタラ間の鉄道の建設に向けて、16億ユーロ相当の協定に署名した〔5月17日付イスラーム共和国通信(IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

イラン北部カスピ海沿岸のラシュトと、アゼルバイジャン国境付近のアスタラを結ぶ全長162キロの同鉄道が開通すると、ペルシャ湾からアゼルバイジャン、ロシアのサンクトペテルブルクを経由して、ヘルシンキまでの鉄道貨物輸送が可能になると報じられている。

調印式はテヘランで開催され、イランのメヘルダード・バズルパーシュ道路・都市開発相と、ロシアのビタリー・サベリエフ運輸相が署名した。イランのイブラーヒーム・ライーシー大統領も出席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はオンラインで出席した。

ライーシー大統領はこの合意について「イランとロシアの協力による主要かつ戦略的開発」とした。プーチン大統領も演説して「この鉄道は世界の輸送ルートに変化をもたらし、多角化を可能にする」と述べるとともに、「南北回廊はイランとペルシャ湾岸地域の国々の食糧安全保障にも重要な役割を果たすだろう」とした(5月17日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

このほかにも、イランとロシアの間ではここ数日、関係強化の動きが見られる。5月17日には、モハンマド・レズバニファー・イラン税関(IRICA)長官とルスラン・ダブゥイドフ・ロシア連邦税関局(FCS)長官が両国間の貿易を促進するための新たな関税協定に署名した(5月17日付IRNA通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

また、イランのアリレザー・ペイマーンパーク貿易振興庁(TPO)長官は「ロシア第2位のVTB銀行がイランに駐在員事務所を開設した」とSNSで発表した。同長官は「VTB銀行はイランに直接拠点を置く初のロシアの銀行で、銀行ネットワークと貿易の透明性を高めるのに効果的だろう」とした(5月17日付IRNA通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(鈴木隆之、マティン・バリネジャド)

(イラン、ロシア、アゼルバイジャン)

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