4月の物価上昇率は前月比8.4%増、加速が止まらず

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年05月25日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は5月12日、4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は全国平均値で前月比8.4%増だったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3月のCPI上昇率7.7%からさらに加速し、2002年4月に記録した10.4%以来の最も高い水準となった。前年同月比(年率)では108.8%増と、3カ月連続で100%を超えた(添付資料図参照)。1~4月の累計上昇率は32.0%に達した。

前月比の伸び率を4月単月でみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは12.6%増、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は8.4%増と高い上昇率だった。一方、エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは4.9%増にとどまった。

前月比の伸び率を費目別にみると、平均の8.4%増を超えたのは、衣類・靴類の10.8%増、食品・飲料(酒類を除く)の10.1%増、外食・ホテルの9.9%増、家財道具・住宅管理の8.6%増だった(添付資料表1参照)。INDECによると、CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)で価格が高騰したのは、トマト(前月比63.4%増)、鶏肉(同26.4%増)、砂糖(同21.1%増)、鶏卵(同20.8%増)など。

5月12日付現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)は「4月24日に発生した並行為替レート(注)の大幅な下落が物価上昇に大きく影響した。政府によるしっかりした対策がなければ、CPIはさらに加速を続ける」と多くの民間エコノミストらの懸念を伝えた。同紙はまた、ここ3カ月の物価上昇率は中銀が毎月集計する民間エコノミストらの経済見通し(REM)の予測値を上回っており、インフレ率が10月までの単月の物価上昇率の予測値7%を超えて推移すれば、年間では150%を超えるとの識者のコメントを伝えた。

ジェトロが5月15日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査(添付資料表2参照)でも、牛ひき肉、パン類、砂糖、家電品などで2桁を超える大幅な値上げが見られた。5月も物価上昇の高止まりが予測される。

(注)並行為替レートとは、公式為替レートでの外貨購入が制限されていることにより、市中で非公式に行われる外貨の売買取引に介在する為替レート。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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