2024年からパスポートなし出入国審査が可能に、渡航客の増加に対応

(シンガポール)

シンガポール発

2023年05月09日

シンガポール入国管理局(ICA)は2024年第1四半期から、全ての出入国審査で次世代の国境管理システム(ABCS)に基づく自動化レーンを段階的に導入すると発表した。ICAの発表(2023年5月5日)によると、同システムの導入により、同国在住者と出国する外国人短期渡航者について、パスポートなしでの審査が可能になる。ABCSの導入は、出入国審査を効率化することで、渡航者の増加と今後予想される審査官の不足に対応するのが狙いだ。

ICAは2022年5月から、自動審査イニシアチブ(ACI)に基づき、日本を含む51カ国・地域(注)からの渡航者について、初めての渡航者であっても自動レーンでの審査ができるようにしている。また、同局は同年12月から、チャンギ空港の一部に、複数の乗客がグループで自動審査できる「特別補助レーン(SAL)」を導入した。SALは、車椅子の乗客や4人までの家族、幼い子供連れの渡航者を対象としたもの。SALは2023年末から、他の出入国チェックポイントにも導入される予定だ。

さらに、マレーシアとの国境の陸路での出入国審査で、車に乗ったまま自動審査を可能にする「自動化乗用車審査システム(APICS)」を段階的に導入する。第1段階として2024年初頭から、パスポートの代わりに、事前にICAのアプリで作成したQRコードをスキャンする。2026年からの第2段階では西部トゥアスの国境に、APICSを導入することで完全自動審査を可能にし、全ての自動車レーンに審査官の配置が必要なくなる。2028年からは北部ウッドランドのチェックポイントにもAPICSを導入する計画だ。

チャンギ空港の3月の旅客数、新型コロナ流行前の8割に

チャンギ空港を運営するチャンギ・エアポート・グループ(2023年5月3日発表)によると、同空港を利用した旅客数は3月に463万人となり、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)流行前の2019年3月の82%まで回復した。新型コロナ流行以降、同空港の旅客が8割を突破するのは初めて。航空機の離発着数は2023年3月に2万6,000回と、2019年3月の約81%に達した。2023年4月1日時点で102の航空会社が同空港に乗り入れ、49カ国・地域の145都市を結ぶ航空便を週約6,000便運航している。

(注)自動審査イニシアチブ(ACI)の対象国・地域と具体的な審査方法については、ICAのサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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