中国初の省級炭素計量センターが大連市で設立

(中国)

大連発

2023年05月24日

5月10日付の遼寧日報などの報道によると、中国・遼寧省市場監督管理局は4月28日、「遼寧省炭素計量センター」(以下、同センター)の設立を承認した。遼寧省政府によると、同センターは、省レベルで設立される全国初の炭素計量センターとなった。

同センターは、2021年12月国務院発令の「計量発展規画(2021~2035)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に沿った遼寧省政府の政策実施に伴い、大連市に設立された。企業の二酸化炭素(CO2)の計量システムの整備や計量サービスの提供をサポートすることを目的としており、同省が掲げる「ダブルカーボン」(注)目標の達成を実現する手段として期待される。遼寧省は、特に先端設備製造業、石油化学工業、金属加工業など重点産業の電力分野の炭素排出削減に焦点を当てている。同センター建設後には、次の機能発揮が期待されているという。

  1. 炭素排出の計量に関するあらゆる技術や制度などを強化する。
  2. 炭素排出、モニタリングなどの基礎研究や次世代技術および応用計量技術の研究を進め、炭素測定器具のオンライン検定、データ校正のレベルを向上させる。
  3. 炭素測定データの収集、分析、評価、応用を強化し、データの質を高め、炭素検証と炭素排出権取引などの業務の円滑な実施に寄与する。
  4. 各企業における合理的な炭素測定器の設置と使用を促し、計量データを規範的に使用し、計量診断や計量検査など技術サービスを展開する。
  5. 炭素計量技術の交流・協力を強化し、炭素計量の公共サービスプラットフォームを構築し、情報を公開・共有する。

大連市は、風力、太陽光、水力、原子力などクリーンエネルギー発電が盛んで、新エネルギーの発電量は遼寧省全体の70%に達しているという。遼寧省市場監督管理局の関係者は、「大連市での同センター設立は低炭素・省エネルギーの核心的なポイントで、技術を活用した新型インフラ建設の重点であり、現代的なエネルギーの発展を統一的に推進していくための重要な内容だ」と述べた。

そのほか、4月21日に、北京市では「2023年に北京市の炭素排出事業者の管理および排出権取引の試験的な実施を確実に実施する通知」が公布され、対象者、炭素排出の算定、割り当て、作業スケジュールなどの詳細が示された。また、寧夏回族自治区では5月10日、「炭素排出権改革を展開し、国家炭素取引市場への全面的な参画を図る指導意見」が打ち出され、2025年までに単位GDP当たりのエネルギー消費量を15%、単位GDP当たりのCO2排出量を16%削減する目標を掲げた。このように各地で炭素排出削減の取り組みが活発になっている。

(注)「ダブルカーボン」とは、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの略称。

(李莉)

(中国)

ビジネス短信 c608fdd174658528