ショルツ・ドイツ首相、東アフリカ訪問

(ケニア、エチオピア、ドイツ)

ナイロビ発

2023年05月23日

ドイツのオラフ・ショルツ首相は5月4~6日、エチオピアとケニアを公式訪問した。エチオピアではアフリカ連合(AU)のムーサ・ファキ委員長とエチオピアのアビィ・アフメド首相と、ケニアではウィリアム・ルト大統領とそれぞれ会談を行った。同首相のアフリカ訪問は2022年5月(2022年6月8日記事参照)に続き2度目。

ショルツ首相はファキ委員長との会談で、スーダンやリビア、サヘル地域情勢などについて意見交換し、国の数や増加する人口からアフリカのプレゼンスは高まっているため、AUのG20への参加は「遠くない未来」に実現するだろうと言及した。アビィ首相との会談では、エチオピアの和平プロセスの進展について一定の評価をしつつ、「正常な状態に戻るまではまだ長い道のりがある」として、和平進展に向けて一層の努力を促した。

ケニアではルト大統領と5日に共同記者会見を行った。ルト大統領は、首相に同行したドイツ企業関係者らに向け、ナイロビの地政学上、戦略的な優位性を活用し、東アフリカ地域やアフリカ大陸への投資のゲートウエーとして、ケニアにさらに投資してほしいと呼びかけた。また、ドイツの移民制度の緩和によるケニア人熟練労働者のドイツへの受け入れ拡大や、東アフリカ経済共同体(EAC)とEUの経済連携協定の妥結などを通じたケニア産品の輸入拡大による貿易不均衡の是正を訴えたことも明らかにした。一方、ショルツ首相は気候変動および開発のパートナーとして、再生可能エネルギーや、水素開発、農業分野の干ばつ対策などで両国が一層協力を深めていくことを表明し、ドイツが2億1,500万ユーロの支援を行って建設したオルカリア地熱発電所の拡張に追加で4,500万ユーロの支援を行うことを表明した。

2022年のドイツと日本の対ケニア貿易額(添付資料図参照)を比較すると、輸出額でドイツは約2億7,000万ドルと日本の約9億7,000万ドルの3分の1にも満たないが、日本は自動車などの輸出が圧倒的な一方で、ドイツは機械類の輸出が約6,400万ドルと日本の約1,900万ドルの3倍以上だ(添付資料表参照)。ショルツ首相は、今回の訪問でケニアでの地熱発電開発を軸に、今後は水素製造や、グリーン肥料製造などの協力を進めていく方針を示すなど、機械類の輸出が一層拡大していくことが見込まれる。

(佐藤丈治)

(ケニア、エチオピア、ドイツ)

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