1~3月の経済成長率は6.4%、2023年通年の政府目標の範囲内

(フィリピン)

マニラ発

2023年05月18日

フィリピン統計庁(PSA)は511日、2023年第1四半期(13月)の実質GDP成長率を前年同期比で6.4%と発表した(添付資料表参照)。同数値は、フィリピン政府が成長率の目標としている6.07.0%の範囲内だった(政府通信社511日付)。アルセニオ・バリサカン国家経済開発長官は511日、2023年第1四半期の経済成長率の発表を受け、「経済が新型コロナ禍前の高度成長のトレンドへと戻りつつある」とコメントした。

需要項目別にみると、前年同期比で民間最終消費支出が6.3%増、政府最終消費支出が6.2%増、国内総固定資本形成が12.2%増で、輸出が0.4%増加した。バリサカン長官は、民間最終消費支出が2022年第1四半期の増加率10.0%から減速した理由として、物価高対策として実施した金融政策の引き締めの影響が顕在化しつつあると述べた。また、輸出の増加率が比較的に低い理由として、世界的な需要の低迷を挙げた。

産業別では、前年同期比で農林水産業は2.2%増、鉱工業などが3.9%増、サービス業が8.4%の増加となった。バリサカン長官は、サービス業の成長率が高い理由として、新型コロナ禍からの経済活動の全面的な再開を挙げた。サービス業の中では、宿泊・飲食が26.9%増、運輸・倉庫が14.3%増と特に高かった。

バリサカン長官は、様々なリスクや課題を抱えているとしつつも、フィリピン経済の短期および中期での経済見通しは堅調との認識を明らかにした。そのうえで、2023年に6.07.0%、2024年から2028年にかけては6.58.0%とする政府の経済成長率目標の達成について、自信を示した。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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