タイ総選挙、タイ開発研究所(TDRI)が主要政党の公約を分析

(タイ)

バンコク発

2023年05月10日

タイ開発研究所(TDRI)はタイ総選挙における主要な6政党の政権公約を分析したレポートを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本レポートは、多くの政策が特に脆弱(ぜいじゃく)層(貧困層など)の救済を目的としたものとなっているが、過剰な財政支出により公的債務が拡大し、経済の安定性に悪影響する可能性があると報告した。

本レポートによると、6政党の各公約の実現に必要な経費は、タイ誇り党が約1兆9,000億バーツ(約7兆6,000億円、1バーツ=約4円)、タイ貢献党が約1兆8,000億バーツ、タイ前進党が約1兆3,000億バーツ、国民国家の力党が約1兆バーツ、民主党が約7,000億バーツ、タイ統一党が約3,000億バーツとなった(詳細は添付資料参照)。

最も高額となったのがタイ誇り党。政策予算の大部分を占める1兆7,000億バーツを南部の経済特区でのインフラ投資に充てる見込みだ。しかし、TDRIはタイ誇り党が、3年間の債務返済猶予策など選挙管理委員会(EC)に報告していない選挙公約も有していることを指摘した。それらを含めた場合、さらに必要予算が拡大する可能性もある。次いで高額だったのがタイ貢献党だ。同党は国民1人当たり1万バーツのデジタル通貨を給付するための費用として5,600億バーツを見込む。一方、同党は、その財源について税収の自然増による2,600億バーツを見込んでいる。TDRIはこの点について、経済成長を過大評価しているとした。続くタイ前進党については、他党に比べて詳細に支出と財源を示していると評価したが、同党の政策は軍や中央政府機関からの強い抵抗を受ける可能性を指摘した。

(藤田豊、ピンラウィー・シリサップ)

(タイ)

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