外国人医療従事者の受け入れに向けた制度導入に関する議論が進展

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年05月10日

インドネシア保健省医薬品医療機器総局は4月20日、インドネシア国会で審議中の健康保険法2009年第36号の改正案に関するFAQ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。改正案では、外国人医療従事者のインドネシア国内への受け入れなどが議論されている。同FAQのP8において、a.医療行為のニーズがあること、b.技術移転の文脈であること、c.一定の期間内における従事であることなど、具体的な外国人医療従事者の従事要件が述べられている。

本改正に関しては、2019年ごろから国会審議が継続されているもので、現地主要メディアのKompas誌外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどによると、同法改正案236条において、将来的に外国人医療従事者によるインドネシア国内での医療行為が認められる可能性がある。

従来、インドネシアにおいては、医療従事者や設備の不足のため、富裕層が海外での医療を受診し、これに伴う高額医療費の海外流出が社会的問題の1つとされていた。外国人医師や設備を国内に招き、技術移転を促進することにより、この問題の解決を図りたい意図があるとみられる。

バリ島の経済特区で外国人医療従事者の活動を許可

インドネシアにおいては、既に一部経済特区において外国人医療従事者の受け入れが進められている。政府は2022年11月、大統領規定2022年41号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発布し、バリ島のサヌール地区をインドネシア初の医療経済特区に指定した。さらに、2023年1月には保健省規則2023年第1号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの発出により、経済特区内での外国人医療従事者の活動を認めている。

同保健省規則によれば、経済特区内において、(1)外資系病院、(2)内資系病院(国際標準に準拠する必要あり)を設立することができ、(1)医療分野の技術要件および労働要件を満たすこと、(2)ポートフォリオ評価(学識者、政府関係者などから構成される協議会などが別途規定する書類審査や実技テスト)を通過すること、および(3)専門知識の技術移転に協力すること、を条件に、外国人医療従事者が経済特区内病院で勤務することが可能とされている。インドネシア経済特区評議会の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、同サヌール地区において、既に外資系病院との協業に向けた準備が進められている。

現在審議中の健康保険法2009年第36号の改正時期は未定だが、将来的に日系医療従事者を雇用したかたちでのクリニックなどの運営が、経済特区以外の地域においても可能となることも想定され、今後の議論の行方が注目される。

(中村一平)

(インドネシア)

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