ベンガルール空港近辺の工業団地の現在

(インド)

ベンガルール発

2023年05月29日

インド南部カルナータカ州のベンガルール近郊には、日系企業が進出する主要工業団地や、今後進出が有望視される工業団地が14カ所(インドの工業団地情報)ある。中でも、ベンガルール国際空港に最も近い工業団地が、ハイテク・ディフェンス・アンド・エアロスペース・パーク(Hi-Tech, Defence & Aerospace Park)だ。同空港周辺では、5月に台湾の電子機器受託製造(EMS)大手フォックスコン(鴻海精密工業)が、空港から南に約10キロ離れたデバナハリに工場建設用の土地を購入したことでも、最近注目が集まっている(2023年5月22日記事参照)。

ジェトロは5月16日、同工業団地内で台湾系民間ディベロッパーの世正開發(Century Development Corporation India : CDCI)が開発するテクノロジー・イノベーション・インターナショナル・パーク(TIIP)を訪問し、視察などを行った。

ハイテク・ディフェンス・アンド・エアロスペース・パークは、1,360エーカー(約550万平方メートル、1エーカー=約4,046.9平方メートル)のITパーク、1,100エーカーのハードウェア・パーク、250エーカーの経済特区(SEZ)を含む990エーカーのエアロスペース・パークによって構成されており、アマダ(AMADA、日本)、シェル、テックマヒンドラ(インド)、ワイジーワン(米国)などが進出している。TIIPは、ITパーク内に70エーカーの土地を所有しており、3つのパーク内で唯一空きがある。空港まで2キロ、車で15分の場所に位置し、現在はチェンナイ港まで高速道路N75で7時間かかるが、チェンナイ―ベンガルール経済回路が整備されれば、3時間程度に短縮される。

TIIPの土地は、すでにカルナータカ州工業団地振興公社(KIADB)より購入済みで、土地の造成工事も完了していた。また、11キロボルテージのスイッチヤードの設置が終わっており、現在は30メートルと20メートルの主要道路と、同道路の地下に埋める通信ケーブルと工業用水の配管、雨水の排水設備の整備が進行中だ。TIIPの東側エリアは、2023年度第3四半期(10~12月)末には整備が完了する予定で、西側エリアは、2024年度第2四半期(7~9月)ごろを目指して建設中だ。

CDCIのスティーブン・チャン副社長は「土地取得において、99年リースを利用する場合は土地の価値が低減するが、購入する場合は土地の価値が通常は上がる。ベンガルール南部の工業用地は不足気味で、北部の開発が進んでいることから、今後土地価格の上昇が見込まれる。そのため、製造拠点としてのみならず投資としても価値がある」と話す。

写真 造成済みの用地(CDCI提供)

造成済みの用地(CDCI提供)

同所には、台湾のモーター製造大手の東元電機と三井物産の合弁会社で、高効率の産業用モーターや電気自動車用のパワートレインを製造するテミコ(TEMICO)が進出し、工場を建設している。

同氏はまた、「米国の物流企業とシンガポールの車載機器の製造企業も関心を示している。将来的には集積回路(IC)、コンピュータおよび周辺機器、電気通信、光エレクトロニクス、精密機械、電気自動車の分野でクラスターを構築したい」と意気込みを語った。

写真 建設中のテミコの工場(ジェトロ撮影)

建設中のテミコの工場(ジェトロ撮影)

(大野真奈)

(インド)

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