最低賃金の引き上げと個人所得税の免税対象の拡大を実施

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年05月08日

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は5月1日のメーデーに、大統領選挙キャンペーン以降掲げていた、最低賃金の引き上げと、個人所得税の免税対象の拡大を実施(2023年11月9日記事参照)した。

最低賃金の引き上げについては、5月1日付大統領暫定措置令(注1)1.172号を公布し、即日施行した。最低賃金は、現在の1,302レアル(約3万5,154円、1レアル=約27円)から1,320レアルに18レアル引き上げられる。ブラジル政府は5月1日、2,500万人が恩恵を受けるものとしている。

ルーラ大統領は5月1日、サンパウロ市内でブラジル中央統一労働組合(CUT)など複数の労働組合が主催する集会で登壇し、最低賃金の引き上げはインフレ上昇率にとどまらない実質的な賃上げを行うためと位置付けている、と述べた。その上で、恩恵を受ける人々の購買行動の一助となり、その購買行動が商業を活性化させ、さらなる雇用創出が生まれるという経済の好循環につなげていく、といった趣旨の発言を行っている。

また、個人所得税の免税対象拡大は、4月30日付大統領暫定措置令1.171号を公布し、5月1日に施行した。これまで、月間所得が1,903.98レアルまでは非課税となっていたところ、2,112レアル(注2)までが非課税となる。財務省は、1,300万人が恩恵を受け、2015年以来8年ぶりの調整だと説明している(5月1日、2日付財務省公式サイト)。

(注1)大統領暫定措置令(MP)は国会の事後承認が必須。120日間の審議期間が設けられる。

(注2)ブラジル政府は、最低賃金の2倍(2,640レアル)までを免税対象にしたと述べているが、これは免税対象となる2,112レアルと、納税者が一律で免税対象にできる金額(免税対象の上限値である2,112レアルの25%に相当する528レアル)を免税対象にできる金額を足しあげたもの。

(古木勇生)

(ブラジル)

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