EUの2022年下半期の家庭用電力・ガス価格、ともに記録的な上昇

(EU)

ブリュッセル発

2023年05月02日

EU統計局(ユーロスタット)は4月26日、EUの2022年下半期の家庭用電力価格(税込み)の平均は100キロワット時(kWh)当たり28.4ユーロで、前年同期の23.5ユーロから大幅に上昇したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2022年下半期のガス価格(税込み)の平均も100kWh当たり11.4ユーロとなり、前年同期の7.8ユーロから上昇し、電気とともに、ユーロスタットの記録開始以降、最高価格となった。

2022年下半期の家庭用電力価格(自国通貨)を加盟国別でみると、ほとんどの加盟国で1年前よりも価格が上昇した。特にルーマニアは前年同期比で2.1倍、チェコは同97%増、デンマークは同70%増、リトアニアは同65%増、ラトビアは同59%増と上昇率が高かった。上昇率が最も低かった国はルクセンブルクで同3%増、オーストリア、ドイツはともに同4%増、ポーランド、ブルガリアはともに同5%増だった。一方、電力価格が下がった加盟国は2カ国のみで、電力価格が規制されているマルタで同3%減、政府による一時金の支給と減税措置を導入しているオランダで同7%減だった。

2022年下半期の家庭用ガス価格(自国通貨)を加盟国別でみると、前年同期と比べて全ての加盟国で価格は上昇した。特にチェコは前年同期比で3.3倍、ルーマニアは同2.7倍、ラトビアは同2.6倍、リトアニアは同2.1倍、ベルギーは同2倍と、大幅な上昇がみられ、上昇率が20%以下だったのはクロアチア(同14%)とスロバキア(同18%)の2カ国のみだった。

ユーロスタットによると、エネルギー価格はロシアのウクライナ侵攻前から上昇し始め、2022年下半期は記録的な上昇となった。その後、加盟国政府のエネルギー政策や介入などを受けて、電力とガスの価格は安定の兆しを見せている。また、2021年下半期と比べ、電力・ガスの請求書に占める税金の割合は、電力は36%から16%と18.3%減、ガスは27%から14%と15.8%減となり、いずれも大幅に減少した。

(大中登紀子)

(EU)

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