シンガポール首相がケニア訪問、カーボンクレジットなどの覚書締結
(ケニア、シンガポール、インドネシア)
ナイロビ発
2023年05月31日
ケニアのウィリアム・ルト大統領と、シンガポールのリー・シェンロン首相は5月18日、ナイロビで首脳会談を行い、共同記者会見を行った。会見で両首脳は、両国間でカーボンクレジットや人材育成、情報通信分野の協力を定めた3件の覚書(MOU)を締結したことを明らかにした。
このうち、カーボンクレジットにかかるMOU(2023年5月22日記事参照)は、パリ協定第6条に基づく協力として、両国のベストプラクティスの共有や、温室効果ガス(GHG)排出量の削減・除去にかかるプロジェクトの協力を推進するもの。ケニア政府は2023年6月末までにカーボンクレジットにかかる法案を成立させるべく、調整を進めており、ルト大統領はカーボンクレジットをケニアの最大の輸出品目にするとしている。また、情報通信分野にかかるMOUについては、同分野の知見や人材の交流に関する内容で、特にサイバーセキュリティーや政府サービスのデジタル化について2国間の協力を進めていく考えだ。
ルト大統領は、2018年6月に締結したものの発効に至っていない2国間投資協定の即時発効や、グリーンファイナンスの分野でナイロビ国際金融センター(NIFC)をサブサハラアフリカの金融ハブとする可能性について首脳間で意見交換したことなどを明かした。また、シンガポールをケニア農産品のASEAN市場におけるハブ拠点としたいとも述べた。
5月上旬には、モーゼス・クリア貿易・投資・産業長官が民間企業を同行してインドネシアを訪問するなど、ケニアは東南アジア諸国との経済関係強化に積極的に取り組んでいる。東南アジアはケニアの農産品の輸出市場として有望視されている。
(佐藤丈治)
(ケニア、シンガポール、インドネシア)
ビジネス短信 8e908ae60c1f3b7e