ジェトロ、米ウイグル強制労働防止法の適法性審査に関する追加ガイダンス仮訳を公開

(米国、中国)

米州課

2023年05月30日

ジェトロは5月30日、ウイグル強制労働防止法(UFLPA、注)の、適法性審査に関する追加ガイダンスの暫定仮訳を公表した。米国税関・国境警備局(CBP)が2月に追加ガイダンスを発表していた(2023年2月24日記事参照)。

UFLPAは「新疆ウイグル自治区が関与する製品は、強制労働に依拠して製造された製品」との推定に基づき、米国への輸入を原則禁止している。CBPのUFLPA執行データ(2023年3月17日記事参照)によると、同法が施行された2022年6月21日から2023年4月3日までに、CBPは490件の貨物の輸入を拒否、1,778件を保留、1,323件を解放して輸入を許可している。差し止めされた貨物が解放されるには、主に次の2通りがある。

  1. 新疆ウイグル自治区が製品に関与していたとしても、強制労働に依拠して製造されたものではないという、上述の推定に対する反証を「明確かつ説得力のある証拠」をもって輸入者が示し、その証拠をCBPが認めた場合。
  2. 新疆ウイグル自治区が当該貨物のサプライチェーンにそもそも関与しておらず、輸入者が「適法性審査(applicability reviews)」を要求し、CBPが認めた場合。

UFLPA執行戦略(2022年6月21日記事参照)によると、CBPが1.を認めた場合には、その決定から30日以内に報告書を連邦議会に提出した上で一般に公開するとしているものの、これまでにそうした事例は明らかになっていない。そのため、前述の解放された貨物の1,323件はいずれも2.の適法性審査によるものと推測される。

CBPは2022年6月に輸入者向けのガイダンスを発表しており(2022年6月17日記事参照)、2023年2月に発表した追加ガイダンスは適法性審査の手続きに関して、当初のガイダンスを補足するものと位置付けられる。このうち「適法性審査のベストプラクティス」には、適法性審査を要求する際に、CBPへ提出する資料に含めるべき内容を例示している。また、UFLPA執行戦略で重点執行分野に挙げているポリシリコンや綿(コットン)を原材料に使用するソーラーパネルやアパレルについて、個別に提出する資料に含めるべき内容を示している。さらに、「適法性審査の提出書類の用意―要約および目録例に関するガイダンス」には、ソーラーパネルを例に、CBPへ提出する資料の要約に記載する具体的な内容や、資料目録の項目立てを紹介している。

(注)UFLPAについては、ジェトロ特集ページ「ウイグル強制労働防止法」も参照。同ページでは、UFLPAに関する最新動向を随時紹介している。

(谷本皓哉)

(米国、中国)

ビジネス短信 8e49aca559831400