タイ・インド合同貿易委員会、20年ぶりに対面で開催

(タイ、インド)

バンコク発

2023年05月01日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は425日、第13回タイ・インド合同貿易委員会(JTC)の結果を公表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますJTC420日にインドのニューデリーで開催され、20年ぶりに対面での実施となった。DTNのオーラモン・サップタウィータム局長とインド商工省商務局のインドゥ・C・ネール次官補が共同議長を務めた。

JTCでは、主に両国間の貿易拡大に向けた貿易円滑化と貿易障壁の削減について議論が行われた。DTNはインドに対し、タイヤ、カラーテレビの輸入制限措置を是正し、これらの製品にかかる輸入ライセンス取得手続きの詳細を明らかにするよう要請した。また、冷媒を含むエアコンの輸入禁止措置、ゴムと切り花の輸入港の限定についても解除を求めたほか、タイ産ココナツの市場アクセスを要請した。

インド政府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、インド側は、同国産の海産物や家禽(かきん)製品、肉類などがタイで輸入制限に直面していることを問題提起した。また、両国は、高付加価値な水産品、加工食品、スマートフォン、電気自動車(EV)、医薬品など、連携を強化する製品分野を特定した。さらに、看護・医療サービスやヘルスツーリズム、会計、オーディオビジュアル・撮影といったサービス分野でも協力を深める。

貿易円滑化の面では、原産地証明書の電子署名・シールを活用することで原則合意された。また、観光促進のため、インド政府の電子決済システム「統合決済インターフェース(UPI)」とタイの「プロンプトペイ(PromptPay)」を連携し、QRコードなどを通じてインド・ルピーとタイ・バーツ間で即時決済を可能とする取り組みついて、進捗状況が確認された。

対面でのJTC20年ぶりに開催された背景

JTCは、貿易・投資の促進や障害の削減について、両国政府の高官レベルで対話を行う会合として19852月に設立された。第11回会合が20039月にタイのバンコクで開催されて以降、タイ・インド自由貿易協定(FTA)、ASEANインドFTAの交渉に注力するため、長らく実施されていなかった。20193月、バンコクで行われた第5回タイ・インド外務協議(FOC)において、タイ商務省とインド商工省が局長レベル会合を実施することで合意し、重複を避けるため、JTCの再開が合意された。その後、202012月に第12JTCをオンラインで実施した。

2022年のタイの対インド貿易総額は、前年比18.1%増の177300万ドルだった(輸出:1052,500万ドル、輸入:717,800万ドル)。貿易総額は約20年前の2003年と比べて約12倍に拡大し、タイの貿易全体に占めるインドのシェアは1.0%から3.0%に拡大した。タイからの主な輸出品は、プラスチックペレット、植物・動物油、化学品、宝石、鉄鋼製品など。インドからの主な輸入品は、宝石・貴金属、機械・同部品、非鉄金属鉱石、金属くず、化学品など。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、インド)

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