タイ中銀の3月経済金融報告、タイ経済は前月から鈍化

(タイ)

バンコク発

2023年05月10日

タイ中央銀行(BOT)は2023年4月28日、3月の月例経済金融報告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。同報告によれば、3月のタイ経済は工業生産と民間投資の伸びが鈍化し、それに伴い財輸出(金を除く)が前月比(注)で縮小するなど、全体的に成長が減速した。

工業生産指数は、前年同月比4.6%減、前月比1.2%減とどちらも減少になった。食料品・飲料品では前月比5.9%減と顕著に失速した。貿易相手国の需要の弱まりと在庫の高止まりから、電子部品(集積回路および半導体)の生産も前月比4.5%減と縮小した。一方で、ピックアップトラックなどの商用車は前月比4.4%増、ハードディスクドライブは前月比9.5%増となるなど、一部の項目では前月から改善がみられた。

需要面については、民間消費指数が前年同月比6.0%増、前月比0.2%減となった。旅行者数の増加を受けて、サービス支出が前月比1.5%増に拡大した一方、前月の好調な実績から乗用車の販売が減少したことが要因となり、耐久財消費は前月比0.2%減になった。民間投資指数は前年同月比1.6%減、前月比も1.0%減だった。財輸出(金を除く)は前年同月比2.2%減、前月比0.5%減となった。

3月の外国人観光客数は221万9,000人で、前月比8.7%増加した。特にタイへの団体旅行が可能となった中国からの観光客数が増加したことが要因。

なお、タイ中央銀行は、民間消費と観光業によって支えられた継続的な回復のおかげで、2023年第1四半期のGDP成長率は前期を超えると予測。また、タイ中央銀行広報補佐官のチャヤワディー・チャイアナン氏によれば、経済は着実に回復しており、第1四半期は、前期比、前年同期比ともに改善すると見込んでいる(「バンコク・ポスト」紙2023年4月1日)。

(注)前月比は季節調整済みの数値。

(藤田豊)

(タイ)

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