2022年の貿易額、1963年以降初めて赤字に転じる
(コートジボワール)
アビジャン発
2023年05月26日
コートジボワール税関総局が5月4日に発表した通関統計によると、同国の貿易は恒常的に黒字で推移してきたが、2022年の貿易額は輸入価格の高騰によって輸入超過となり、1兆CFAフラン(約229億円、1CFAフラン=約0.229円)を超える赤字となった。赤字は、国際基準に準拠する統計制度が同国で整備された1963年以降初めてのことだ。
2022年の輸入額は、原油などエネルギー価格の上昇により、前年比44.2%増の11兆2,185億CFAフランで、過去最大となった。輸出額も、原油・石油製品、金などが伸びて、前年比19.9%増の10兆2,080億CFAフランと過去最大だったが、輸入額の増加が大きく上回った結果、貿易収支は、1兆105億CFAフランの赤字に転じた。
ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、原油や石油製品などが値上がりしたことに加えて、2022年はドル高ユーロ安が進み、ユーロと固定相場でリンクするCFAフラン建ての輸入額が押し上げられたことが大きな要因だ。輸入総量は0.9%増にとどまる一方、輸入単価(輸入総額/輸入総量)が42.9%上昇した。他方、最大の輸出産品であるカカオ豆が生産減少と国際価格の低下が響いて輸出額を押し下げたことも一因として挙げられる。
品目別の輸出額は、カカオ豆(1兆9,948億7,500万CFAフラン、前年比16.2%減)、石油製品(1兆3,726億8,700万CFAフラン、2.2倍)、金(1兆1,908億4,100万CFAフラン、25.4%増)、天然ゴム(1兆1,591億2,000万CFAフラン、35.9%増)、カカオ加工品(1兆919億7,500万CFAフラン、16.9%増)、原油(5,170億2,000万CFAフラン、63.4%増)の上位6品目で、輸出総額の7割を超える。カカオ豆を除いて軒並み大幅に増加したが、カカオ豆の減少が輸出額を押し下げた。
輸出額を相手国別に見ると、マリ(9,090億300万CFAフラン、前年比87.4%増)が最大、続いてオランダ(8,857億4,600万CFAフラン、20.3%増)、スイス(8,227億5,500万CFAフラン、78.5%増)、米国(5,453億400万CFAフラン、20.8%減)、ブルキナファソ(5,294億9,500万CFAフラン、58.4%増)、フランス(4,622億4,300万CFAフラン、8.5%増)、マレーシア(4,514億3,200万CFAフラン、1.8%増)、中国(4,293億1,500万CFAフラン、39.3%増)、ガーナ(4,258億1,700万CFAフラン、2.4倍)、インド(4,209億2,100万CFAフラン、2.2倍)が上位を占め、米国を除いてそれぞれ増加した。
品目別の輸入額は、石油製品(1兆5,103億8,200万CFAフラン、前年比2.6倍)、原油(1兆5,005億CFAフラン、95.7%増)、機械機器(7,520億6,700万CFAフラン、28.9%増)、乗用自動車を含む輸送機器(6,535億6,700万CFAフラン、8.1%増)、鉄鋼製品(6,241億3,800万CFAフラン、40.1%増)、コメ(5,049億2,900万CFAフラン、24.4%増)、プラスチック製品(4,853億2,200万CFAフラン、32.3%増)、冷凍魚(4,591億2,600万CFAフラン、11.2%増)の上位8品目で、輸入総額の約6割を占める。これらの品目は、輸入単価の上昇により金額ベースで軒並み大幅に増加した。
相手国別の輸入額は、中国(1兆6,118億2,300万CFAフラン、前年比34.2%増)が最大、続いてナイジェリア(1兆3,549億2,000万CFAフラン、94.8%増)、フランス(7,519億9,000万CFAフラン、3.1%増)、インド(5,831億5,500万CFAフラン、22.4%増)、米国(5,235億3,000万CFAフラン、39.9%増)、ベルギー(5,108億8,000万CFAフラン、90.3%増)、バハマ(3,673億6,200万CFAフラン、2.6倍)、トーゴ(2,903億2,800万CFAフラン、68倍)、ベトナム(2,873億1,500万CFAフラン、75.4%増)、トルコ(2,851億800万CFAフラン、27.5%増)の順で多く、それぞれ増加した。
(渡辺久美子)
(コートジボワール)
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