ドイツ自動車産業連合会、2023年の世界乗用車市場の見通しを上方修正

(ドイツ、世界)

ミュンヘン発

2023年05月09日

ドイツ自動車産業連合会(VDA)は5月2日、2023年の世界の乗用車市場の見通しを上方修正外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2023年第1四半期(1~3月)における新型コロナ禍からの回復基調とサプライチェーン安定化の影響を受けたもの。ドイツ国内の乗用車生産台数予測にも触れた。

VDAの予測によると、2023年の世界の乗用車市場は7,490万台(前年比4%増)に拡大する。前回予測(2023年1月)は7,460万台(4%増)だった(2023年1月27日記事参照)。

地域別にみると、半導体などの部品の供給不足で生産台数が抑制された影響で大きくたまった超過需要が解消されつつあり、特に欧州(注)の乗用車市場は回復傾向にある。VDAは欧州市場を1,200万台(前年比7%増)とし、前回予測の1,180万台(5%増)から2ポイント上方修正した。ただし今回の上方修正でも、2023年の欧州市場は新型コロナ禍以前の2019年の水準を24%下回るとした。VDAは、欧州に含まれるドイツ乗用車市場については280万台(4%増)と予測、前回予測の270万台(2%増)から2ポイント上方修正した。

中国の乗用車市場の2023年の見通しは2,390万台(3%増)とした。VDAは微増にとどまる理由として、中国市場が2022年に既に高水準を記録したことを挙げた。また、米国市場(乗用車と軽トラック)については1,430万台(4%増)と予測した。

VDAのヒルデガルト・ミュラー会長は2023年の欧州・ドイツ乗用車市場の見通しについて、「事実上、乗用車市場が新型コロナ禍以前の水準をまだ大きく下回っている」とした。状況の改善に向け、ドイツと欧州における原材料の供給確保のため、パートナーシップを拡大し、サプライチェーン強靭(きょうじん)化への取り組みを推進することの必要性を強調した。また、エネルギー価格の引き下げと電力税をEU加盟国最低レベルに引き下げることなどの措置を求めた。

ドイツ国内の2023年の乗用車生産台数予測についても、VDAは4月5日、2023年第1四半期のドイツ国内における乗用車生産の好調を受けて、2023年1月予測の369万台(前年比6%増)から379万台(9%増)に上方修正した。それでもなお、VDAの5月2日発表では、2023年の国内乗用車生産台数の予測は新型コロナ禍以前の2019年の水準を19%下回るとした。

(注)EU27カ国、EFTA加盟国(スイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン)および英国。

(クラウディア・フェンデル)

(ドイツ、世界)

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