トランス脂肪酸含有量上限値を上回る食品・非アルコール飲料の小売り販売を禁止に

(メキシコ)

メキシコ発

2023年05月30日

メキシコ政府は3月24日、保健一般法(Ley General de Salud)第216条Bisの改正を公布外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、食品と非アルコール飲料のトランス脂肪酸の含有量上限値を「脂質100グラム当たり2グラム以下」と設定した。同改正の施行日の2023年9月20日以降は、この上限を超える商品の小売り販売が禁止される。業務用商品は対象となっていない。これは、世界保健機関(WHO)が2018年5月に公表した「加工食品を製造するときにできるトランス脂肪酸を減らす行動計画(REPLACE)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」にのっとり、メキシコ国内で改正したもの。メキシコでは2021年10月に上院で改正案が可決されていたが、下院での承認が先送りされていた。しかし、行動計画の開始期限が2023年末であることと、官報公示日から180日間の移行期間を含むことから、2023年2月に下院で承認され改正案は成立した。

WHOによると、トランス脂肪酸については、総摂取エネルギーの1%に相当する量よりも少なくすることが目標としている。日本では成人のエネルギー摂取量を1,900キロカロリーと想定し、その1%に相当する2グラムがトランス脂肪酸の摂取上限として促されている。メキシコの保健一般法第216条Bisで示された数量と同じだ。

食品・非アルコール飲料への成分表示規格は、2020年3月27日改正のメキシコ公式規格(NOM、NOM-051-SCFI/SSA1-2010PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))の第4.5.2.4.7 条Bis-1で規定している(添付資料表参照、ただしスペイン語)。総脂質量(Grasas totales)の項目には、飽和脂肪酸(Grasas saturadas)とトランス脂肪酸(Grasas trans)の含有量を表示しなければならない。含まれていない場合は、「0mg」と表示する。

第216条Bisの施行後は第215条の警告表示義務の掲示と並行で対応

メキシコ政府は2019年に保険一般法(LGS)を改正した。その第215条でカロリー、糖分、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、ナトリウムの5種の指定栄養成分のうち、上限値以上のものがあれば、それを消費者に警告するため、シンプルかつ明瞭に警告を表示することと規定した(2020年5月7日付地域・分析レポート参照)。トランス脂肪酸を含む商品は、WHOの勧告に合わせ総摂取エネルギーの1%以上の場合、包装表面に「EXCESO GRASAS TRANS」と表記した八角形の警告表示を貼付するか、直接印字する必要がある(添付資料図参照、ただしスペイン語)。第216条Bisの施行後は、消費者に対し、トランス脂肪酸の含有量が脂質100グラム当たり2グラム以下であることを示しつつ、同警告表示の対応も並行で必要となる。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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