2025年までにレジ袋を廃止

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年05月11日

マレーシア政府は、2025年までに全国で小売り目的のプラスチック製レジ袋使用を廃止することを目指す。5月9日にニック・ナズミ天然資源・環境・気候変動相が表明した。スーパーマーケットなどの固定店舗では、後述する一部州では既に適用されており、今後は全国的に、さらには屋台を含む小規模店舗にも段階的に対象を広げていく。2025年以降もレジ袋を提供する事業者には罰金を科すほか、レジ袋廃止に対するインセンティブ供与も検討する。詳細は追って同省が発表する。

また、同大臣は、セランゴール州、ペナン州、ジョホール州、ネグリセンビラン州が先行してレジ袋廃止に動いていると紹介しつつ、「それぞれの事情があるため、罰金やその徴収頻度は州政府や地方自治体に裁量を与える」として、禁止措置の実施に関しては一定の柔軟性を確保する考えを示した。

さらに「マレーシアでは廃プラスチックが大きな課題になっている。残念ながら廃プラの管理が適切にされているとは言えない。世界自然保護基金(WWF)によると、マレーシアでは食品包装だけで2020年に14万8,000トンのプラスチックを使用した」と、同国の窮状にも言及した。

天然資源・環境・気候変動省の前身のエネルギー・天然資源省は、2021年に発表した「プラスチック・サステナビリティー・ロードマップ2021-2030外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、「2030年までにプラスチック包装の100%をリサイクルする」との目標を掲げていた。それに先立つ2018年に環境・水省が発表した「使い捨てプラスチック製品の禁止に向けたロードマップ2018-2030外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、2030年までに使い捨てプラスチックを全廃するとしていた(ジェトロ「マレーシアのリサイクル産業-プラスチックリサイクルを中心に-」参照)。今回の発表と過去のロードマップの位置付けは明確でないが、レジ袋に関しては、向こう2年程度で撤廃に向けた動きが加速するとみられる。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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