南北国際輸送路に3カ国合弁の物流会社設立へ

(カザフスタン、ロシア、トルクメニスタン)

タシケント発

2023年05月12日

カザフスタン国営鉄道(KTZ)は421日、カザフスタン、ロシア、トルクメニスタン3カ国の輸送・物流会社が合弁物流会社を設立する覚書を締結したと発表した。

覚書を締結したのは、KTZの子会社KTZエキスプレスと、ロシアのRZDロギスチカ、トルクメニスタン輸送物流センターの3社。41719日にモスクワで開催された第27回輸送物流国際展「トランス・ロシア2023」で締結された。新会社はロシアとイラン、インドを結ぶ南北国際輸送路(INSTC)の東ルートの複合一貫輸送を行う予定だ。

南北国際輸送路は2000年からロシア、イラン、インドが主導してきた輸送ルートで、ロシア・サンクトペテルブルクからインド・ムンバイを陸と海で結び、総延長は7,200キロに及ぶ。これらの3カ国は20009月に南北国際輸送路の整備・活用に関する国際協定を締結した。その後、カザフスタン、ベラルーシ、タジキスタン、オマーン、アルメニア、アゼルバイジャン、ウクライナ、キルギス、トルコなどが同協定に参画し、2022年にはトルクメニスタンも加わった。カスピ海を挟んでカザフスタン・アクタウを経由する東ルート(添付資料参照)と、アゼルバイジャン・バクーを経由する西ルートに分かれる。サンクトペテルブルクからスエズ運河を通る海上輸送ルートに比べ、輸送時間とコストが大幅に削減できると期待されている(カズインフォルム2022125日)。

写真 オラル~アティラウ間:片道1車線、アスファルト舗装(一部老朽個所あり)。(ロシア、トルクメニスタンナンバートレーラー、ウズベキスタン~ロシア間シャトル便など)(ジェトロ撮影)

オラル~アティラウ間:片道1車線、アスファルト舗装(一部老朽個所あり)。(ロシア、トルクメニスタンナンバートレーラー、ウズベキスタン~ロシア間シャトル便など)(ジェトロ撮影)

写真 アティラウ~ベイネウ~アクタウ間、片道1車線、アスファルト舗装(良好)。(ロシア、トルクメニスタン、トルコ、ウズベキスタンナンバートレーラーなど)(ジェトロ撮影)

アティラウ~ベイネウ~アクタウ間、片道1車線、アスファルト舗装(良好)。(ロシア、トルクメニスタン、トルコ、ウズベキスタンナンバートレーラーなど)(ジェトロ撮影)

写真 アクタウ~ジャナオゼン間、片道2車線、中央分離帯あり、アスファルト舗装(良好)(ジェトロ撮影)

アクタウ~ジャナオゼン間、片道2車線、中央分離帯あり、アスファルト舗装(良好)(ジェトロ撮影)

写真 ジャナオゼン~対トルクメニスタン国境間:片道1車線、ジャナオゼン~ケンディルリはアスファルト舗装(良好)、国境手前30キロはアスファルト舗装老朽化による凹凸・砂利道。(トルクメニスタン、ロシア、トルコナンバートレーラーなど)(ジェトロ撮影)

ジャナオゼン~対トルクメニスタン国境間:片道1車線、ジャナオゼン~ケンディルリはアスファルト舗装(良好)、国境手前30キロはアスファルト舗装老朽化による凹凸・砂利道。(トルクメニスタン、ロシア、トルコナンバートレーラーなど)(ジェトロ撮影)

南北国際輸送路の年間輸送量は3,000万トンと推定されており、ロシアをはじめとする沿線国から有望なルートとして関心を集めている。20226月にはロシアの貨物運送会社がサンクトペテルブルクからインドへの直行コンテナサービスを開始した(シーニュース2022620日)。ユーラシア開発銀行(EDB)は、2030年までに総額380億ドル相当の100を超える関連インフラ整備計画が実施されると見積もっている(カズインフォルム2022125日)。

写真 国境で待機するトレーラー(ジェトロ撮影)

国境で待機するトレーラー(ジェトロ撮影)

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア、トルクメニスタン)

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