メーデー連休の国内旅行者数、新型コロナ前の2019年同期比で約2割増

(中国)

北京発

2023年05月12日

中国文化観光部は5月3日、2023年のメーデー連休期間(注1)の国内旅行者数が前年同期比70.8%増の延べ2億7,400万人となり、2019年同期の実績を約2割上回ったと発表した。ただ、同期間の国内観光収入は前年同期比2.3倍の1,480億5,600万元(約2兆8,131億円、1元=約19円)となったものの、2019年同期と比較すると微増だった。

発表によると、5月の全国的な観光キャンペーンに合わせて、各地では観光地入場券の無料化や割引を適用し、文化・観光消費券(クーポン)を発行するなどの措置が講じられた。山東省淄博市では、誘客に向けて「バーベキュー特別列車」の運行や無料駐車サービスを提供し、北京市の八達嶺「万里の長城」では、開園時間を早めるたり、ナイトツアーを実施したりするなどして、混雑解消に取り組んだ。

また、省・市をまたぐ300キロ以上の中・長距離観光ツアーの人気が高まったほか、243カ所ある国家級夜間文化観光消費エリア(注2)の旅行者数は延べ7,768万6,000人、毎晩のエリアごとの平均旅行者数は前年同期の2.1倍の延べ6万3,900人だった。

旅行に関連した消費も好調だ。商務部によると、連休期間中の全国の重点小売り・飲食企業の売り上げは前年同期比18.9%増となった。国家税務総局が発行した増値税専用領収書の状況によると、消費関連業界の連休期間の売り上げは前年同期比24.4%増で、うち旅行会社や関連サービス業界は前年同期5.4倍だった(「央視網」5月5日)。

また、国家映画局によると、メーデー連休期間の映画興行収入は15億1,900万元だった。うち日本アニメ映画の「THE FIRST SLAM DUNK」は1億4,800万元(注3)で、同期間の興行収入ランキングで4位となった(「央視新聞」5月4日)。

一方で、中国公民の団体旅行の再開や国際旅客便の増便などにより、国外旅行も活況を見せている。国家移民管理局によると、全国各地の移民管理機関がメーデー連休期間に審査した出入境者は前年同期比約3.2倍の延べ626万5,000人、1日当たりでは延べ125万3,000人で、2019年同期の59.2%の水準に回復した(「新華社」5月4日)。

(注1)メーデー連休は4月29日から5月3日までの5日間。

(注2)国家級夜間文化観光消費エリアとは、夜間の文化・観光消費が活発で、照明や衛生、交通などの公共サービスが整備されており、知名度が高い観光、飲食、娯楽、買い物などの機能を持つエリアを指す。文化観光部が各地方政府による申し立てに対して審査・認定する。国務院が2019年8月に発表した「文化観光の消費の潜在力をさらに引き出すことに関する意見」では、2022年までに200カ所以上の国家級夜間文化観光消費エリアを建設することが打ち出されている。

(注3)この映画は4月20日から上映されており、中国の映画興行データ分析アプリ「猫眼専業版」によると、5月4日12時までに6億元の興行収入を記録した。

(張敏)

(中国)

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