英政府、留学生の扶養家族へのビザ発給を厳格化する方針発表

(英国)

ロンドン発

2023年05月25日

英国政府は5月23日、英国への純移民数を抑制すべく、扶養家族へのビザ発給厳格化を含む留学生ビザに関する方針を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。スエラ・ブレイバマン内務相が議会下院に対する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで示した。この措置が導入された場合、研究プログラムとして指定されている大学院課程に在籍している留学生だけが扶養家族を英国に連れてくることが認められることになる。適用開始は2024年1月を予定。

2019年の総選挙でボリス・ジョンソン元首相が掲げた公約では、全体の移民の流入数を引き下げるとしていた。リシ・スナク首相はBBCの取材(5月20日付)に対し、移民数削減に向けた政府の具体的な計画について述べることはしなかったものの、さまざまな選択肢を検討していると述べた。

英国で2022年に発行された学生ビザは48万6,000件で、2019年の26万9,000件から増加している(「スカイニュース」5月23日)。また、政府発表によると、学生の扶養家族に発給されたビザの件数も13万6,000件と2019年の8.5倍となっている。なお、日本国籍の学生に対する発給数は学生ビザが2,447件、扶養家族ビザが194件となっている。

今回の声明で示した方針は次のとおり。

  • 留学生が扶養家族を帯同する権利を撤廃(ただし、研究プログラムとして指定されている大学院課程に在籍している場合は除く)。
  • 留学生が学業を終える前に就労ビザに切り替える権利を撤廃。
  • 留学生と扶養家族に対する生活維持要件の見直し。
  • 不適切な申請を支援する教育機関を取り締まる措置を導入。
  • 高等教育機関や優れた留学生に対する移民制度の周知強化。
  • 執行を改善し、対象を絞ったものへと変更。

今回の方針については、純移民数の増加と労働力不足のジレンマに陥っていると指摘する声もあり、与党・保守党内での分裂も報じられている(「ブルームバーグ」5月23日)。

(松丸晴香)

(英国)

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