安全保障上重要な投資への審査導入方針固める

(スイス)

ジュネーブ発

2023年05月12日

スイス連邦参事会(内閣)は5月10日、外国投資への事前審査制度に関する法案の意見聴取(コンサルテーション)の結果を踏まえ、連邦経済教育研究局(EAER)に対し、安全保障上最も重要な投資に限定した修正案を2023年末までに起草するよう指示した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

EAERは、2022年5月18日~9月9日の期間、同法案に関するコンサルテーションを実施した。その結果、参加者からは、投資規制はスイスのビジネス拠点としての魅力を低下させるとして懐疑的な意見が大半だった。ただし、同法案は外国からの投資がスイスの公序良俗や治安を危うくすることを防ぐことを目的にしており、導入する場合は範囲を限定し、とくに安全保障上の脅威となり得る外国投資家に限定すべきだとした。

連邦参事会は、既存の規制枠組みで十分であり、投資審査制度の費用対効果は小さいとして、導入すべきではないという立場を維持しているものの、コンサルテーションの結果を踏まえて、法案の大幅な修正を決定した。具体的には投資審査を、外国の国営投資家による、防衛関連、発電・送電、医療・保健、通信インフラなど、特に重要な分野で事業を行う国内企業の買収に限定する。連邦参事会は、修正案はコンサルテーションの際の法案よりも企業への不利益が大幅に軽減されるとしている。

(竹上嗣郎)

(スイス)

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