スハルト政権崩壊から25年、汚職が依然として課題

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年05月24日

スハルト独裁政権の崩壊から5月21日に25年が経過したと、国内メディアが一斉に報じた。

スハルト政権は1967年から1998年まで30年以上続いた長期政権。1997年に発生したアジア通貨危機を発端とした経済・金融システムの混乱や、国民の経済的窮乏などから、政権の汚職・政治腐敗や経済の非効率性に対する国内の批判が高まった。その結果、国内で暴動とスハルト氏への退任要求が激化し、1998年5月21日の政権崩壊につながった。

国立研究・革新庁(BRIN)のフィルマン・ヌール上級政治研究員はスハルト政権崩壊後のインドネシアの民主主義について、「2000年代の初頭は改革の火がまだ燃えていた」とし、「現在はインドネシアの民主主義は停滞している」とした。同氏は「汚職と金権政治がより習慣的になり、縁故主義が再出現し、国家の機能が特定のグループの利益に向けられている」とした(5月21日ビスニス)。

国民民主党(NasDem:Partai Nasional Demokrat)を中心とする「統一のための変革連合(KPP:Koalisi Perubahan untuk Persatuan)」が擁立した2024年大統領選挙の候補者のアニス・バスウェダン前ジャカルタ特別州知事は5月21日、「共謀、汚職、縁故主義の根絶について話していたレフォルマシ(民主化運動)から25年間が経過したが、依然として政府の課題だ」とした(5月22日Liputan6)。同氏は「25年前私たちが民主化のために闘っていた時、経済は落ち込み、自由も圧力にさらされていた。今日でも、われわれの中には抑圧された自由を感じている者もいる」とし、「この共和国の全ての人に平等な機会があることを要求する」として、1945年憲法の前文の精神に従って政府を構築するとのコミットメントを示した(5月21日detik)。

(尾崎航)

(インドネシア)

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