トルコとシリア、シリア内戦後初の外相会合

(トルコ、シリア、ロシア、イラン)

中東アフリカ課

2023年05月16日

トルコ、シリア、ロシア、イランは5月10日、モスクワで外相会合を開催した。5月10日付シリア国営通信(SANA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、4カ国はシリアの主権と領土保全の尊重、テロ対策で協力することで合意した。

今回の会合は、2011年に始まったシリア内戦後、トルコとシリアの初の外相会合となった。トルコ政府は、シリア北東部のクルド人勢力を標的とした軍事行動を通してシリア反体制派を支援し、アサド政権と対立してきた。ただ、近年はトルコ国内で360万人に上るシリア難民が社会問題ともなっている。

前述のSANAによると、会合後に発表した共同声明で、4カ国の国防省との連携により、トルコとシリアの関係改善に向けたロードマップを作成することが示された。声明はまた、シリア再建の国際援助を強化し、シリア難民の自発的で安全かつ尊厳ある祖国への帰還を促進する必要性を強調した。

5月10日付トルコ国営アナドル通信によると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は会合開会の辞で、トルコとシリアの関係改善は、2017年に採択されたシリアの平和と安全の回復を掲げる「アスタナ・フォーマット」(2022年7月22日記事参照)にとっても、新たな機会になると述べた。

今回の会合を受け、シリアのファイサル・メクダド外相は関係改善に意欲をみせた一方、「トルコ軍を含むあらゆる形態の自国領土への不法な軍事的プレゼンスを終わらせることが必要」と強調した(5月10日付SANA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

なお、この会合はロシアとイランの仲介によって実現した。5月10日付イラン国営イスラーム共和国通信(IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、イランとロシアは会合後に2国間協議を行い、関係をさらに深化させる重要性を確認した。ロシアのラブロフ外相は「4カ国による会合はシリア問題解決の一歩」と述べ、イランのホセイン・アミール・アブドゥラヒヤーン外相は「今回の会合は、イランとロシアの緊密な協力の結果だ」と述べた。

(吉川菜穂)

(トルコ、シリア、ロシア、イラン)

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