中国初のRCEP協定加盟国企業税務サービスセンターが設立

(中国)

青島発

2023年05月15日

中国山東省の青島市税務局などは4月26日、中国で初めてとなる「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定加盟国企業税務サービスセンター」を設立した。センターは山東省の貿易・投資の円滑化促進を目的として、「RCEP山東企業サービスセンター」内に設けられ、専門家チームが国際税務に係る企業サポートを行う。具体的には、貿易や法律上の紛争などに焦点を当て、国や産業、輸出形態、優遇税制類型、所得類型などの種類に応じて、越境投資企業の租税条約の履行や税務紛争の調停、移転価格税制に関する事前確認(Advance Pricing Arrangement、APA)などに係る支援を行う。このうち、税務紛争の調停については、対外投資を行う中国企業を対象に、投資先国での税務紛争に係るサポートを行う。また、対中投資を行う外資企業に対しては、複雑な税制適用基準の事前確定に向けたサポートを行う。

そのほか、RCEP協定加盟国との投資・貿易に係る税務関連のリスクを整理し、国・地域や企業タイプの違いに応じて税務リスクに関する注意喚起を行うなど、各企業に合わせた解決策を提案する。

「RCEP山東企業サービスセンター」通じてRCEP協定利用拡大に取り組む

山東省はRCEP協定加盟国の日本や韓国と地理的に近いことから、同省政府も企業によるRCEP協定の利用拡大に積極的に取り組んでいる。センターが設置された「RCEP山東企業サービスセンター」は、中国初のRCEP協定に関連する包括的な企業サービスを行うプラットフォームとして、2021年6月21日に設立され、山東省内の税関、税務、行政審査などの部門とともに、企業に対して渉外公証や原産地証明書発行などのワンストップ型の行政サービスや、法律コンサルティングサービスなどを提供している。

山東省では実際にRCEP協定加盟国との貿易も拡大している。2023年1~3月の同省とRCEP協定加盟国との貿易額は前年同期比14.3%増の2,908億2,000万元(約5兆5,255億8,000万円、1元=約19円)で、同省貿易総額の38%を占めた。

1~3月の山東省のRCEP協定に係る原産地証明書の発給件数は前年同期比86.7%増の4万5,000件で、中国の省・市別で首位となった。また、RCEP協定に基づく特恵関税が適用された1~3月の輸出貨物総額は同49.9%増の約110億6,000万元だった。

(董玥涵)

(中国)

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