ジェトロ、米領プエルトリコのビジネスセミナー開催、人的資源や税制優遇の魅力強調
(米国)
ニューヨーク発
2023年05月25日
ジェトロは5月19日、ニューヨーク市内で米国領自治連邦区(準州)のプエルトリコのビジネスセミナーを開催した。プエルトリコ投資庁(Invest Puerto Rico)、ニューヨーク日本商工会議所と共催した。プエルトリコ投資庁の最高経営責任者(CEO)エラ・ウォジャー氏、プエルトリコ商工会議所会頭で在プエルトリコ日本名誉総領事のキャメロン・マッケンジー氏らをゲストに迎え、主要産業のバイオサイエンスや次世代製造業などへの投資機会について議論が行われた。セミナーには、日系企業などから9人が参加した。
プエルトリコ投資庁は企業誘致を目的とした公的機関で、新しいビジネスや資本の呼び込みを狙って設立された。セミナーではウォジャーCEOがプエルトリコの経済状況や投資環境について詳しく説明した。同氏によると、プエルトリコでは労働参加率が5%増となる一方、失業率は2022年に6%と過去最低を記録し、雇用者数は111万人以上に上る。また、GDPの約半分を製造業が占め、製造部門による輸出の約8割を製薬・医薬分野が占めている。今後についてウォジャーCEOは、金融や保険など他分野の成長に対しても強い期待を示した。
また、プエルトリコの投資環境の魅力の1つとして紹介されたのが人材の豊富さだ。年間1万8,000人の学部生、2,500人の大学院生が科学、技術、工学、数学(STEM)や健康分野の学位を取得し、STEM分野で働く労働力人口の割合は全米でも第1位となっているという。今後の各産業分野の技術者需要の高まりを見越した技術者育成プログラムも開始している。そのほかにも、米州・欧州へのアクセスの良さや、連邦所得税の免税、低い法人税率(4%)、研究開発活動に対する最大5割の税額控除などの税制優遇策が紹介された。
さらに、プエルトリコ投資庁が開発し、ビジネス案件と投資家のマッチングを行うプラットフォーム「Impeller」が示され、投資プロセスの簡素化だけでなく、プエルトリコでのビジネスチャンスを世界に紹介するツールとして説明した。
マッケンジー氏は、税優遇策や人的資源など、日本や外国企業の進出に対するサポート体制は整っており、イノベーションを生み出す準備は万全だと語った。
上記のジェトロ主催セミナーと同じ19日と前日の18日には、プエルトリコ準州政府主催の大型の投資セミナー「PR NOWフォーラム」がニューヨーク市内のウォール街で開催された。同フォーラムは、プエルトリコの財務状況や、台風など自然災害からの復興状況、投資機会、官民連携によるインフラ開発、エネルギー開発の進捗などを投資家向けに解説するもので、ペドロ・ピエルルイシ知事を筆頭に、国務長官、商務長官などの閣僚級、関係機関や民間企業のトップらが基調講演やパネル討論に登壇した。ゲストにはニューヨーク州のキャシー・ホークル知事やニューヨーク市のエリック・アダムス市長、ロン・クレイン元大統領首席補佐官が招かれ、プエルトリコとの関係を語るなど、ニューヨークでのプエルトリコの存在感を示すイベントとなった。
(米山洋、神田七海)
(米国)
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