米ダウ、テキサス州にX-エナジーの小型モジュール原子炉導入へ

(米国)

ヒューストン発

2023年05月17日

米国の化学大手ダウ(本社:ミシガン州ミッドランド)は5月11日、同社の米国テキサス州のシードリフト事業所に、小型モジュール式原子炉(SMR、注)の技術開発を行う米国のX-エナジー(本社:メリーランド州ロックビル)のSMRを導入すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、今回のSMR導入により、シードリフト事業所の二酸化炭素(CO2)排出量は年間約44万トン削減されると予測される。両社は今後、米国原子力規制委員会に建設許可申請書を提出するとしており、4基で構成するSMRプロジェクトの建設は2026年に開始、2030年までに完了予定だ。

ダウのシードリフト事業所は4,700エーカー(約19平方キロ)の敷地を有し、食品包装・保存、履物、ワイヤー・ケーブル絶縁、太陽電池膜、医療・医薬品の包装など幅広い用途で使用される年間40億ポンド(約18億1,437万キログラム)以上の材料を製造しているとされている。

テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は「テキサス州は世界のエネルギー首都だ。両社が新しいSMR原子力発電所の建設地としてテキサス州を選んだことは、この州の優れたビジネス環境と、この重要な産業の革新の歴史を証明するものだ」「このSMRプロジェクトは、世界のエネルギーリーダーとしてのテキサスの地位をさらに強固なものにし、メキシコ湾岸域の勤勉なテキサス人に、高収入の雇用と経済機会の拡大をもたらすだろう。私は、両社と協力して、テキサス州の強大なエネルギー産業の可能性を最大限に引き出し続けることを楽しみにしている」と述べた。

X-エナジーは2022年9月に、原子力関連を含め、航空機分野や軍事分野など多分野の部品製造を手掛ける米国のカーティス・ライトと、X-エナジーのSMRの設計と商業化を進めるためのサプライヤー契約を締結したと発表した(2022年9月22日記事参照)。

(注)X-エナジーのSMRは、4基合計で320メガワット(MW)の発電容量を有するプラントとして設計されている。

(沖本憲司)

(米国)

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