米上院の民主党幹部、対中競争法案第2弾の作成に向けたイニシアチブを発表

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年05月08日

米国連邦議会上院で民主党トップのチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州)と上院各委員会の委員長ら12議員は5月3日、中国を念頭に米国の競争力を強化する法案を作成するためのイニシアチブを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

シューマー氏は、2022年8月に成立した「CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)」を主導した議員だ。同法は、国内の半導体産業の振興のために527億ドルを確保するなど、中国との長期的な競争に備えることを主眼としていた(2022年8月10日記事参照)。今回新たに発表したイニシアチブはこれに続くものとして、現時点で「中国競争法案2.0」と名付けられている。ただし、法案の策定はこれからで、シューマー氏は関連する上院の各委員会の委員長らに、次の5点について各委員会の共和党幹部との協議を開始するよう指示した。

  1. 中国政府への先端技術の流れを制限する:輸出管理法令の強化や、新たな制裁の特定、中国政府の威圧的行為の抑制などを検討する。
  2. 中国政府への投資の流れを制限する:特定の主要な産業分野において米国の資本が中国企業に流れないよう対外投資審査を導入する。
  3. 国内経済への投資を確保する:CHIPSプラス法で後押しした半導体に続いて、バイオ技術など公的資金が必要な重要産業を特定する。
  4. 経済面での同盟関係を重視し友好関係を維持する:中国の一帯一路構想を野放しにせず、同盟・友好国を経済面で支援し続ける。
  5. 同盟・友好国の安全を確保するとともに戦略的同盟関係を維持する:中国が台湾との間で衝突を起こさないよう抑止するための追加的な施策を検討する。

シューマー氏は「このイニシアチブには超党派の支持があり、われわれは、米国の将来を守るために、この議会を機能させる機会を有している。習近平国家主席は国際舞台で米国と互角に渡り合うことをやめないことを明確にしている。米国もやめるわけにはいかない」と、超党派の結束の下で、中国に対抗する決意を表明した。法案成立に向けた見通しについては「可能であれば向こう数カ月の間に決着を付けたい。大仕事になるが、それがわれわれの希望だ」とした。

(磯部真一)

(米国、中国)

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