1~4月のロシア海港の貨物取扱量は11.6%増

(ロシア)

欧州課

2023年05月18日

ロシア商業海港協会の発表(511日)によると、202314月のロシア海港での貨物取扱量は前年同期比11.6%増の350万トンだった(添付資料表参照)。ロシア政府は、西側諸国からの制裁などによる外部環境の変化を受け、技術主権の確保や、変化に対する経済構造の適応に取り組み始めた。ミシュスチン首相が署名した連邦政府決定には、経済構造の適応における対象分野の1つとして、港湾インフラの整備を盛り込んだ。

貨物取扱量を品目別でみると、石炭(前年同期比18.3%増)、穀物(2.1倍)、鉱物質肥料(1.7倍)、原油(7.6%増)が伸びた。一方で、コンテナ貨物(6.9%減)、鉄鋼(17.5%減)、鉱石(18.3%減)、石油製品(2.9%減)、液化ガス(4.4%減)が減少した。

海港所在海域別では、アゾフ・黒海域が前年同期比22.0%増、カスピ海域が28.7%増だった。「インフラ・ニュース」(512日)によると、両海域でのコンテナ取扱量が増加し、アゾフ・黒海域で前年同期比18.0%増、カスピ海域では4倍となった。

4月単月のロシア海港の貨物取扱量は、前年同月比19.5%増の8,244万トンとなった。月別の取扱量として過去2年間で最高水準だった。前月比でも3%増だった(「インフラ・ニュース」512日)。

ミハイル・ミシュスチン首相は415日、ウクライナ侵攻後の外部環境の変化を受け、技術主権の確保や経済構造の適応を実現させるため、優先的に開発する分野を規定する連邦政府決定に署名した。経済構造の適応における重点分野の1つとして港湾施設の近代化や港湾関連インフラの整備が含まれた。ミシュスチン首相は「この連邦政府決定により有望な産業の拡大のために最大10兆ルーブル(約17兆円、1ルーブル=約1.7円)の追加資金が提供されることになり、材料、部品、設備の供給を補填(ほてん)できるほか、輸送と物流の流れを変え、国内企業で競争力のある製品を生産することが可能になる」として期待感を示した。

(後藤大輝)

(ロシア)

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