ペトロ大統領、全閣僚に辞任を要求

(コロンビア)

ボゴタ発

2023年04月27日

コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は4月25日、バジェ・デル・カウカ県で行われたイベントで行った演説で、閣僚全員に辞任を要求した。さらに、ツイッター上で、U党、自由党、保守党との与党連立を解消すると宣言した。

辞任要求は、ペトロ大統領が推し進める医療保険制度改革について、国会の委員会で紛糾が続いていたためとみられる。ペトロ政権は国会で自身をリーダーとする左派連合のほか、中道の有力諸政党を与党とし、この結果、国会で圧倒的多数を占めている。上記の3党は、与党に参加することと引き換えに閣僚ポストの任命権を得たという経緯もある。しかし、医療保険制度改革について3党は反対を表明しており、ペトロ大統領と対立していた。一方で、党の方針に反して、4月25日の下院委員会で賛成票を投じる議員も存在するといった状況だった。

同委員会で改革法案は承認されたにもかかわらず、行われた辞任要請の真意は明らかとは言えず、驚きを持って受け止められている。しかし、26日現在、既に大蔵・公債相、農業・地方開発相、内相、科学相、情報技術・通信相、運輸相のほか、ペトロ大統領にかねて近く、医療保険制度改革の推進役だったカロリナ・コルチョ保健・社会保障相も辞任を受け入れ、それぞれ後継閣僚の任命が始まっている。

産業界の支持を持ち、政権とのバランサー的な役割を担っていたオカンポ大蔵・公債相の辞任は、矢継ぎ早の改革を打ち出す現政権の不透明性をさらに助長するとして、信用面への影響を懸念する声も出ている。

(豊田哲也)

(コロンビア)

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