ADB、ラオスの2023年経済見通しを4.0%へ上方修正

(ラオス)

ビエンチャン発

2023年04月10日

アジア開発銀行(ADB)は「アジア開発経済見通し2023」を4月に発表し、ラオスの2023年の経済成長率を4.0%とし、前回レポート(2022年9月)の3.5%見通しから0.5ポイント引き上げた。レポートでは、経済を牽引する要因として、中国との境界再開や、中国ラオス鉄道による国際乗客輸送の開始(注)などにより、2023年の外国人観光客数が2022年の2倍(260万人)という見通しとなることや、エネルギー部門では4つの水力発電所〔合計400メガワット(MW)〕の新規稼働、東南アジア最大級となる風力発電所(600MW)の建設開始、その他、ドライポートや鉄道沿線の経済特区の推進、低金利融資などの輸出振興策による農産物の輸出拡大を挙げた。

一方で、インフレ率は2023年も平均16%と、依然として高い状況が続き、消費や投資を押し下げると分析した。2022年は平均23%だった。また、低い外貨準備高や高い公的債務残高は引き続きリスク要因と指摘した。対外公的債務残高は2022年に124億ドルと、GDPの94%に達したが、外貨準備高は2022年9月末時点で11億ドルで、商品輸入の1.6カ月分しかないと分析している。また、中国や先進国の経済状況や、インフレの進行は今後の見通しを左右するとも指摘した。

ラオス計画投資省統計センターが発表した消費者物価指数報告書によると、3月のインフレ率は前年同月比40.97%と2月の41.26%から若干低下した。しかし、前月比では1.64%で、2月の1.38%から再び上昇した。物価上昇圧力が高まっている兆候にある。

(注)中老鉄道による中国・昆明からラオス・ビエンチャンまでの乗客一貫輸送は2023年4月13日の開通を準備している。

(山田健一郎)

(ラオス)

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